ちょっと前のわたしたち

【No.384】6月2日 Taka * 【No.385】6月25日 かおる

No.385

6月25日 Kaoru(マドリード)

スペインの街中にはいろんな鳥がいる。
スズメはもちろんだが、街の風景になじんでいる鳥たち、日本ではあまりお目にかからない鳥たちがいる。

そのひとつはスペインではミルロ(Mirlo)、と呼ばれている黒い鳥、日本ではクロウタドリと呼ばれているらしい。ミルロ(Mirlo)
ミルロ
 黒い体に黄色いくちばしを持つ、日本語の名前にふさわしい、美しい鳴き声を持っている鳥。 今私が住んでいる建物の植え込みのあたりにもこのクロウタドリの一家が住んでいるらしく、毎朝、きれいな歌声を聞かせてくれている。

そしてもうひとつは、日本では天然記念物にもなっている「カササギ」。 日本では非常に珍しく九州の一部でしか生息していないそうだが、こちらでは公園や少し緑のあるところであればごくごく普通に見ることができる。 こちらではウラカ(Urraca)と呼ばれていて、カラスの仲間とはいえ、スリムな体と白が混じったボディに長い尻尾を持っていて、飛ぶときの形なんて、なかなか優雅で私は観ているのも好きな鳥だ。

さて、一つ目に紹介したしたクロウタドリのエピソード。

先日、ピソの敷地に入る門を開けると鳴き声がする。 植え込みのところを見ると地面にクロウタドリのヒナがうずくまっている。まだ飛ぶには少し無理かなというくらいに成長している雛。

ウラカ(Urraca)
ウラカ

足を怪我したのか、骨折したようだ。 病気には見えないし、羽も汚れていないが、足がダランとして身動きが取れないようだ。 少し迷ったけれど、もしかしたら獣医に持っていけるかも、このままでは猫にきっと殺されると思い、捕まえようとした... けれど、飛べない羽と体を引きずって逃げる、と同時にヒナは悲鳴を上げた。

すると、周り一斉で大きな鳴き声が。 すぐ側の木の枝から親鳥が私を見てキーキー騒いでいる。 植え込みの周りにも兄弟なんだろう、ヒナが数羽いて、走り回っている。 いきなりの騒動にびっくりしてとりあえずヒナをその場所において退散した。 どうも、ヒナは巣に帰るだけの力はないし、ある程度成長したヒナを巣まで運ぶ力も親鳥にはないようだが、ヒナがうずくまっているところを監視してエサやりなどの世話をしているようなのだ。

翌朝、そっとヒナのいる場所を見るととりあえず元気でじっとしている。

翌日は姿は見えなかったけれど、きっと無事隠れているかしているのだろう、と思うことにした。

スペインは親子の関係がべったりしているといわれたりするけれど、鳥の世界でもそうなのかな、と私を攻撃でもしかねない親鳥の勢いにふとほほえましくなった。

元気で巣立ちを迎えられるといいなぁ。

※写真はWikipedia「クロウタドリ」「カササギ」より引用

 

No.384

6月2日 Taka(東京)

春先、友人の男性からカブトムシの幼虫をもらった。まぁ、いわゆるイモ虫である。

友人は、昨年の夏の夜、自宅の電灯目がけて飛び込んできたカブトムシのオスを捕獲し、1匹では可哀想とその翌日、メスのカブトムシをデパートから購入してきてツガイで飼い始めたという。

そのカブトムシが卵を数十個産み、孵化し、少しずつ成長を遂げ、体調が2cmぐらいになった話を聞いた私は、「へえ、面白そうだね!」と食いついた。 昆虫の飼育は、子供の頃に兄貴が飼っていたカブトムシやクワガタ、鈴虫を横から見ていた程度だ。

「カブトムシってさなぎになるの? 抜け殻とか見たことないけど」
蝉の抜け殻はイヤというほど集めたことはあるが、カブトムシのは見たことがない。

そんなことを矢継ぎ早に質問していたら、
「飼う? あげるよ!」 と飼育を勧められた。

その夜、夫に
「Aくんからカブトムシの幼虫をもらうことにしたの! 夏には羽化する瞬間が見れるかもしれないよ! 楽しみじゃない?」
と話したら、彼は静かに振り返り、
「はぁ?」
「誰が、何を、何のために飼うって?」
と非常に冷めた口調の反応が返ってきた。
私が、
「あれ? 嬉しくないの? カブトムシだよ!」 
「私たちが、カブトムシの幼虫を、観察日記をつけるために、週末から飼いますけど……」

考えてみたら夫は昆虫嫌いだった。
通りを歩いているときに前に飛んできた蜂にビックリして、
「Taka、危ないよ!」
と言いながら私を盾にし自分の身を防護した姿は今でも忘れない。

幼虫がやってきてから数ヶ月。
虫かごに入れた腐葉土のなかで3匹はすくすく成長。今では体長もそれぞれ5㎝ほどに大きくなって、さなぎになる準備を始めている。

羽化する瞬間は絶対に見たい。
だって羽化直後のカブトムシは白い色をしているそうなのだ。
羽化パーティでも開くかな、と、とにかく私は楽しみなのだ。

先日、夫に、
「無事に羽化したら、ピクニックがてら山にでも行って野生にかえしてあげよう」
と伝えたら、軽~くスルーされた。が、時間を置いて返事があった。
「たぶん、来年ここは“かぶとむし屋敷”になってるよ」

それも、ないとはいえないかな(笑)

 

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