【アルプハーラ(Alpujarra)山岳地帯の素晴らしさ】
シェラ・ネバダ(山)はグラナダ市内からも良く見える、ヨーロッパ最南端の3千メートル級のスキー場がそこにはある。 距離的には、市内からだと上り30キロくらい。 車で1時間かからない。
グラナダは海岸へも車でやはり1時間かからないので、4月なんて、午前は春スキーを気取り、午後は海岸でペッカイート・フリート(魚のフライ)を食べてのんびりできたりする、マジックワールドである。
夜はジプシーの丘、サクロモンテでフラメンコで踊ることもできるっ!(笑)
そんでもって。 海岸に沿っていくと、サロブレーニャとか、アルムニェーカルをはじめとする白い村たちや、もっと小さい白い村たちもある。 アルムニェーカルの友人の家に遊びに行くと、必ず朝は魚の市を散策。 で、見学してるうちにこの間は生きのいい鯖を購入して、その日の昼は鯖の味噌煮を堪能! 市場の前には何故か“SAMURAI”サムライというバールがあり、そこのブニュエロは私の大好物である。(大きいの2つで1ユーロなり)
さて、このシェラ・ネバダのスキー場が北側の山脈とすると、南に広がる山脈がこれまた素晴らしい、グラナダ~アルメリアの魅力なのです。 アルプハーラという地名がついていて、小さい白い村が沢山、沢山あります。 全国的に有名なのはランハロンだろうか(Lanjaron)山の岩清水を詰めて全国に売っている水メーカーである。
さて、(笑)私は、15年スペインに住んでいて(うち、グラナダ10年)、このアルプハラの魅力にやっと取り憑かれてしまったのである。(笑) 昔から、取り憑かれたお知り合いの方々は多くいた。 もちろん、普通の方もいるが、何故かアーティスト肌の方が多かった。 デザイナー、写真家、画家、陶芸家etc...
3~4回上って遊びに行ったことはあったが、全ては理解していなかったようだ。 ナチュラル・パークの中、大変気持ちはよかったが、心を捕らわれたりはしなかった。 なんせ、すごいカーブを延々と上らないといけないのだ。 気持ちいいけど「すごく不便じゃーーーん」と思ったものだ。
おそらく、日帰りでは、山のDuende( ドウエンデ 山の妖精?)は私には取り憑いてはくれなかったのだろう。(笑) ここ半年くらいの間に、2度泊まりがけで行く機会があった。
ピトレス(Pitres)村に住む知り合いの方がお留守にするときに、私の友人がお留守番役を勤めているということで、家主さんの了解を得て、私も一緒することにしたのがきっかけである。 1度目は、1泊2日。 随分心地よかったし、ちょっと後ろ髪引かれる感じで下界に下った。 なので、先週は、思い切って2泊3日居てみようと思った。 中日はかなりの雨だったが、前後は天候に恵まれた。
初日は、いつものノリで観光客気分。 滞在日の野菜や、パンやら、地元のチョリソを買ったりした。 これが、全部エコロジー野菜で美味しいのだな。 そして、パンにいたっては、薪で焼いたパン!?とかって言って、触ると石のように硬いのだ。 でも、中身はすごく味があって美味しい!胡麻もたっぷり入っていた。 しかし、こんな固いパンは下界では見たこともない!ハイジの村ではこんなパンしかなかったんだろうなと思った。 だからペーターのおばあちゃんは、白パンがあんなに食べたかったんだ。 きっと歯が悪かったのだろうから。 この夜は、エコロジー食事とワインと、何故かキアヌのコンスタンティンを見ながら夜は普通に更けていった。。。
さて、次の日くらいから、アルプハラのDuende達が私に接近してくる。 1日中の雨、雨、雨。。。 ひたすら、読書をしたり、写経をしてみたり。 はたまた、日本の歌を大声で何時間も歌ったり、セビジャーナスを友人に教えたりといろいろやった。 何をやっても、近所迷惑なんかにならない。 聞こえないのだ。。。(笑)
ちょっと休憩時に2階のテラスにでると、山、山、谷、谷、が迫っている。。。
そして、深い緑色が私の体にしみ込むよう。。。
時計は下界と同じに動いているのだが、時間の感覚があきらかに違う。
止まっている。でも、森は生きている。。不思議。。。
この夜は、セビジャーナスで盛り上がりすぎて、喉がカラカラになり、ワインやらビールを沢山飲んでしまい、気がついたらもう朝3時すぎで、かなりヘロヘロ。 そろそろ寝よう、ということに。
さて、あくる日は、雲は残っているものの、かなり良い天気! ピトレス村から、山の道を通ってカピレイラ(Capileira)まで4~5キロ歩いていけるということで GO! 途中で会うのは、リス、馬、山ヤギ、毛虫の行列、である。 お昼はカピレイラのバールで休憩。 ミーガスという、アルプハラ、アンダルシアあたりの残った固いパンを調理する工夫から生まれた料理を頼んで友人と半分こ。
帰りも歩いて帰る以外ないので(バスは日に3本)、ビールは小さめのを2杯かわいく飲む。 このミーガスがまた美味しかった! 下手なところだと油を吸い込みすぎて重い料理になってしまうのだが、ここのは、サクサクッ! チョリソと焼きピーマンがついていた。 オーナーが好きらしく、何故かここまできて、バックミュージックはフリオ・イグレシアスがかなり大きな音で歌ってる。(笑) ギャップに笑う。 笑う。
「行きはよいよい、帰りは怖い」とはよく言ったものだ。
いや、実際怖い思いはしなかったのだが、このあたりで、アルプハラの Duende が入り込んできたのだろう? 2人ともしゃんしゃん、歩いてたし、唯一の別れ道は「ここが唯一間違えないようにするところだね」ってすごくよく確認していたところだし。 しかも、1つの道は上り、一つは下りなので間違えようがないねって言ってたのに。。。
何故か、この別れ道のあたり、馬が大量に現れた。。。 美しい馬、馬、馬。。。。
何故か、私等は又、歌いだした。。歌って、歌って、歩いて、歩いて、。。。
「えええええっ???」
すごく山を下っているのである。。。
ありえない。。。
しかも、20分以上下ってしまった。。。
上らなくちゃいけなかったのに。。。
ありえない。。。
幸い、まだ夕方5時。 暗くなるには2時間くらいあるし。。。
「
20分来たならまた上るしかないね」ってまたテクテク。。。
2人とも気持ちよーーくなってたけど、決してぼんやりしていなかったのに。。。
ちょっと、変だね、変だね、って話ながらも無事帰宅。 私は下界する日だったので、お互い気をつけようねーって別れました。
最近、私の周りには、何故かアルプハラの知り合い関係がどんどん増えてるし、アルプハラにはブッタ・センターっていうのがあって、そのこともちょっと調べてって頼まれたり、話題が尽きない。
私の友達はもう1泊したので「大丈夫だった?」って後で聞いたら「その夜はちょっぴり変だった」って言ってた。 そこの家の犬が、いつものソファーで寝たがらないし、階段の下ばかり見ていたんだって。 写経をやってから寝たら、良く寝れたそうです。(笑)
でも、私も彼女も怖いものが“居た”のではなかったよねーって確信してます。 私は、アルプハラのDuendeかなって思ってます。 だいたい、私は、どちらかという、“海派”なんです。 山は別にいいかな、という感じでした。 その私が、もう、またすぐにでも、アルプハーラに戻りたい、なんて思うのは、Duendeにちょっと住み込まれたかなって。
そう、別の斜面を下っていくと、アルメリア県にも出れます。 これも、村々を通って、なかなか素敵なドライブコースです(ただしカーブはすごいです)。 アルメリアに出て、Aguadulce(アグアドウルセ)や、San Jose(サン・ホセ)の白い海岸に行くのも大変お薦めです。