ちょっと前のわたしたち

【No.355】3月4日 かおる * 【No.356】3月11日 SARA
【No.357】3月18日 Norie

No.357

3月18日 Norie (バリャドリード)

のところ、春というより初夏のような陽気が続いている。
きつめの陽射しと、20℃をやや超える気温。空気はからっとしていて、気分もなんだか軽くなる。洗濯もはかどるし、窓を全開にして掃除をしても寒くない。2月に入るまでは毎日のように雨でじとじとしていて、古い(ぼろい・・・)我が家は全体的にかび臭くなったような、ぱっとしない空気だったので、毎日お天気なのはとてもうれしい。
アーモンドの花も、最近増えてきた桜の花も満開。
息子(5才)の背も急に伸びたような気がする。(笑)

陽気が良いと、家族揃って、友だち同士で、お散歩するのがスペイン流。
スペインの景気も先行きが全く見えないどん底なのだが、そよ風に頬をなでられながら、たわいのないおしゃべりをしていると「明日は明日の風が吹く」という通貨ペセタの頃の、失業率だって高かったけど、肝心なものは安いしすぐに手には入るし、「人生の質がスペインってやつは違うんだぜ」と誰もが誇りに思っていた、古き良き時代を彷彿とさせる。 いや、仕事がなくて不安を抱えていた人は当時もたくさんいたし、今もたくさんいるし、で、本質は何も変わってはいないのだろう。

最近、わたしの住む村の中のレストランでは、5ユーロとか6ユーロの「不景気打倒日替わり定食」が増えてきた。 まだ試してないので、内容については語れないのだが、良いことだと思う。 10年前、引っ越したばかりの頃、日替わり定食は800ペセタ(約4.8ユーロ)で、ビール一杯も100ペセタ(約60センティモ)だったのだ。 これくらいなら気楽に外で食べたり飲んだりできたのだ。

お財布のヒモが固くなっている今、値下げしてお客さんを取り戻す、というのは当たり前の考えかもしれないのだけど、スペインのお店もやればできるんだなぁというのが正直な感想。主要道路の工事だって昼間しかやらないから、渋滞が起こって大変だしね。

はてさて、これからどんな風に変わっていくのか。
スペインもわたしも。
とりあえず元気に、その日を無事に生きられたことを感謝するような、そんな毎日を送っていけるといいなと思っている。

 

No.356

3月11日 SARA (グラナダ)

【アルプハーラ(Alpujarra)山岳地帯の素晴らしさ】

ェラ・ネバダ(山)はグラナダ市内からも良く見える、ヨーロッパ最南端の3千メートル級のスキー場がそこにはある。 距離的には、市内からだと上り30キロくらい。 車で1時間かからない。
グラナダは海岸へも車でやはり1時間かからないので、4月なんて、午前は春スキーを気取り、午後は海岸でペッカイート・フリート(魚のフライ)を食べてのんびりできたりする、マジックワールドである。
夜はジプシーの丘、サクロモンテでフラメンコで踊ることもできるっ!(笑)

 そんでもって。 海岸に沿っていくと、サロブレーニャとか、アルムニェーカルをはじめとする白い村たちや、もっと小さい白い村たちもある。 アルムニェーカルの友人の家に遊びに行くと、必ず朝は魚の市を散策。 で、見学してるうちにこの間は生きのいい鯖を購入して、その日の昼は鯖の味噌煮を堪能! 市場の前には何故か“SAMURAI”サムライというバールがあり、そこのブニュエロは私の大好物である。(大きいの2つで1ユーロなり)

 さて、このシェラ・ネバダのスキー場が北側の山脈とすると、南に広がる山脈がこれまた素晴らしい、グラナダ~アルメリアの魅力なのです。 アルプハーラという地名がついていて、小さい白い村が沢山、沢山あります。 全国的に有名なのはランハロンだろうか(Lanjaron)山の岩清水を詰めて全国に売っている水メーカーである。

 さて、(笑)私は、15年スペインに住んでいて(うち、グラナダ10年)、このアルプハラの魅力にやっと取り憑かれてしまったのである。(笑) 昔から、取り憑かれたお知り合いの方々は多くいた。 もちろん、普通の方もいるが、何故かアーティスト肌の方が多かった。 デザイナー、写真家、画家、陶芸家etc...
3~4回上って遊びに行ったことはあったが、全ては理解していなかったようだ。 ナチュラル・パークの中、大変気持ちはよかったが、心を捕らわれたりはしなかった。 なんせ、すごいカーブを延々と上らないといけないのだ。 気持ちいいけど「すごく不便じゃーーーん」と思ったものだ。

 おそらく、日帰りでは、山のDuende( ドウエンデ 山の妖精?)は私には取り憑いてはくれなかったのだろう。(笑) ここ半年くらいの間に、2度泊まりがけで行く機会があった。
ピトレス(Pitres)村に住む知り合いの方がお留守にするときに、私の友人がお留守番役を勤めているということで、家主さんの了解を得て、私も一緒することにしたのがきっかけである。 1度目は、1泊2日。 随分心地よかったし、ちょっと後ろ髪引かれる感じで下界に下った。 なので、先週は、思い切って2泊3日居てみようと思った。 中日はかなりの雨だったが、前後は天候に恵まれた。

 初日は、いつものノリで観光客気分。 滞在日の野菜や、パンやら、地元のチョリソを買ったりした。 これが、全部エコロジー野菜で美味しいのだな。 そして、パンにいたっては、薪で焼いたパン!?とかって言って、触ると石のように硬いのだ。 でも、中身はすごく味があって美味しい!胡麻もたっぷり入っていた。 しかし、こんな固いパンは下界では見たこともない!ハイジの村ではこんなパンしかなかったんだろうなと思った。 だからペーターのおばあちゃんは、白パンがあんなに食べたかったんだ。 きっと歯が悪かったのだろうから。 この夜は、エコロジー食事とワインと、何故かキアヌのコンスタンティンを見ながら夜は普通に更けていった。。。

 さて、次の日くらいから、アルプハラのDuende達が私に接近してくる。 1日中の雨、雨、雨。。。 ひたすら、読書をしたり、写経をしてみたり。 はたまた、日本の歌を大声で何時間も歌ったり、セビジャーナスを友人に教えたりといろいろやった。 何をやっても、近所迷惑なんかにならない。 聞こえないのだ。。。(笑)

 ちょっと休憩時に2階のテラスにでると、山、山、谷、谷、が迫っている。。。
そして、深い緑色が私の体にしみ込むよう。。。
時計は下界と同じに動いているのだが、時間の感覚があきらかに違う。
止まっている。でも、森は生きている。。不思議。。。

 この夜は、セビジャーナスで盛り上がりすぎて、喉がカラカラになり、ワインやらビールを沢山飲んでしまい、気がついたらもう朝3時すぎで、かなりヘロヘロ。 そろそろ寝よう、ということに。

 さて、あくる日は、雲は残っているものの、かなり良い天気! ピトレス村から、山の道を通ってカピレイラ(Capileira)まで4~5キロ歩いていけるということで GO! 途中で会うのは、リス、馬、山ヤギ、毛虫の行列、である。 お昼はカピレイラのバールで休憩。 ミーガスという、アルプハラ、アンダルシアあたりの残った固いパンを調理する工夫から生まれた料理を頼んで友人と半分こ。

 帰りも歩いて帰る以外ないので(バスは日に3本)、ビールは小さめのを2杯かわいく飲む。 このミーガスがまた美味しかった! 下手なところだと油を吸い込みすぎて重い料理になってしまうのだが、ここのは、サクサクッ! チョリソと焼きピーマンがついていた。 オーナーが好きらしく、何故かここまできて、バックミュージックはフリオ・イグレシアスがかなり大きな音で歌ってる。(笑) ギャップに笑う。 笑う。

 「行きはよいよい、帰りは怖い」とはよく言ったものだ。
いや、実際怖い思いはしなかったのだが、このあたりで、アルプハラの Duende が入り込んできたのだろう? 2人ともしゃんしゃん、歩いてたし、唯一の別れ道は「ここが唯一間違えないようにするところだね」ってすごくよく確認していたところだし。 しかも、1つの道は上り、一つは下りなので間違えようがないねって言ってたのに。。。
何故か、この別れ道のあたり、馬が大量に現れた。。。 美しい馬、馬、馬。。。。
何故か、私等は又、歌いだした。。歌って、歌って、歩いて、歩いて、。。。
「えええええっ???」
すごく山を下っているのである。。。
ありえない。。。
しかも、20分以上下ってしまった。。。
上らなくちゃいけなかったのに。。。
ありえない。。。
幸い、まだ夕方5時。 暗くなるには2時間くらいあるし。。。
「 20分来たならまた上るしかないね」ってまたテクテク。。。
2人とも気持ちよーーくなってたけど、決してぼんやりしていなかったのに。。。
ちょっと、変だね、変だね、って話ながらも無事帰宅。 私は下界する日だったので、お互い気をつけようねーって別れました。

 最近、私の周りには、何故かアルプハラの知り合い関係がどんどん増えてるし、アルプハラにはブッタ・センターっていうのがあって、そのこともちょっと調べてって頼まれたり、話題が尽きない。

 私の友達はもう1泊したので「大丈夫だった?」って後で聞いたら「その夜はちょっぴり変だった」って言ってた。 そこの家の犬が、いつものソファーで寝たがらないし、階段の下ばかり見ていたんだって。 写経をやってから寝たら、良く寝れたそうです。(笑)

 でも、私も彼女も怖いものが“居た”のではなかったよねーって確信してます。 私は、アルプハラのDuendeかなって思ってます。 だいたい、私は、どちらかという、“海派”なんです。 山は別にいいかな、という感じでした。 その私が、もう、またすぐにでも、アルプハーラに戻りたい、なんて思うのは、Duendeにちょっと住み込まれたかなって。

 そう、別の斜面を下っていくと、アルメリア県にも出れます。 これも、村々を通って、なかなか素敵なドライブコースです(ただしカーブはすごいです)。 アルメリアに出て、Aguadulce(アグアドウルセ)や、San Jose(サン・ホセ)の白い海岸に行くのも大変お薦めです。

 

No.355

3月4日 かおる (マドリード)

スペインはコーヒーの国だ。

バールでコーヒーを頼むにもブラック、カフェオレにあたるコーヒーとミルクが半々のカフェ・コン・レチェ、それよりもミルクが少ないもの、ミルクが多いもの、薄めのアメリカン、普通よりも濃厚なイタリアンなどなど、コーヒーを頼むにもカスタムメードが可能かも、と思えるほどいろんな言い方があることからも、コーヒーがよく飲まれていることがわかる。

一方、お茶に関しては最近こそブームではあるが、ひと昔前まではおいしいお茶を楽しむのは至難の業だった。
スーパーで売っている紅茶は色は出るものの、味も香りもないという代物。 紅茶好きの私はそれを買って飲むことは忍びがたく、当時マドリードにあった英国系食料品店で紅茶を買っていた。

ところが、最近は健康ブームもあってか、お茶の種類が目を見張るほど豊富になってきた。
お茶専門店もいろんなチェーン店が街角に目だっている。紅茶も普通にスーパーで販売しているものでもおいしいものがある。 それとは別にフルーツ・フレーバーのバリエーションも豊富だし、リラックス、デトックスなど機能をうたったミックス・ティーなど目移りするほどの種類のお茶が売り場に並んでいる。まだ当たり外れはあるものの、レベルはずいぶん高くなった。

バールやカフェテリアでも少しこじゃれたところではいろんな種類のお茶が選べるところが多くなってきている。

でも、まだまだごくごく普通のバールではそんなお茶が飲めることはまずない、と思っていた。 つい最近までは。
私が通勤しているあたりはブルーカラーや退職年金生活の年寄り層が住む地区。
朝にコーヒーやちょっとした朝食をとりに行くバールは朝から安葉巻を吸いながらムス(トランプを使う賭け事ゲーム)で声を荒げるじいさんたちがたむろするバールでとても落ち着いてお茶を楽しむような雰囲気ではない。

私もここではお茶を飲んだことはなかった。 コーヒーの気分ではないときは体調があまりよくないときが多いので、そんなときは、決まってどこにでもあるカモミール・ティー。(カモミールはどこにでもある普通のお茶なのだ)
でも、先日はなぜか普通の紅茶が飲みたくなったのだ。そこで、10年ほど通っておそらく初めて、紅茶を頼んだ。

最近経営者の息子に代わって店番を始めた女の子が不思議そうな顔をして聞く。
「お茶?」
私も答える。「そう。 お茶が欲しいわ。 普通のお茶」
普通紅茶のことはイギリスのお茶とか、ブラック・ティーという言い方をする。
普通のお茶と言ってもなんだか通じていないような顔をするので、そう言葉を足してみた。 まだ腑に落ちない顔をしている...と思うと探し出した。しばらく戸棚を探した後彼女が言った言葉。

「ないわ。あなたが言っていることはわかるけれど、あるのは...」なんと、あったのはカモミール、ミント、ティラと呼ばれるティリアのお茶。まぁ、ここまでは普通だ。

その後彼女が続けて言うには、「アニスの香りつきカモミール、グリーン・ティー、ホワイト・ティー、レッド・ティーもあるけれど、ブラックはないわ。」

なんということ、一番普通であるはずのブラックがなくて、その他の色は全部あるらしい。 こういう親父バールで飲むグリーン・ティーにはまず期待はできない、と考えレッド・ティーを頼むとティーバッグにはプーアールと書いてある。 こんなバールで誰がプーアール茶を飲むのか不思議に思いながらマドレーヌと一緒にプーアールを飲んだ私だった。 さて、お茶の文化、スペインにも根付くのだろうか?

 

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