ちょっと前のわたしたち

【No.287】2月6日 Maki * 【No.288】2月13日 SARA

【No.289】2月21日 Norie

No.289

2月21日 Norie (バリャドリード)

 世界的な現象らしいけれども、スペインもずいぶん暖冬だ。
いつもの年なら、朝真っ白に霜が降りていたり、夜乳白色の深い霧の中を運転しなくてはいけなかったり、それこそ手足が凍えそうになるほどの寒さなのだけど、今年はそんな日はあまりなくて、雪も一回か二回ちらほら降った程度。 ここ数日のカーニバル期間は、ぽかぽかする日もあったほどで、露出系の仮装をした人はずいぶんと楽だっただろう。

 カーニバルといえば、スペインに来た最初の年に語学学校の仮装パーティでおばあちゃんのお面をかぶったのと、去年、友人宅のホームパーティでにわとりの被り物をした以外は、毎年、道行く仮装した人たちを眺めて楽しむだけのわたしだが、今年は息子が学校で仮装をするので、ただの傍観者というわけにもいかなかった。カーニバル仮装

 事前に「カーニバルの衣装は手作りよ!」と周りのお母さんたちに聞いて、「ミシン使うのか?面倒だなぁ。」くらいに覚悟していたら、画用紙で大きな一粒のマーブルチョコレートを作れ、という指示だった。
「材料は100ペセタショップで売ってるわよ。」と親切に教えてもらい、出かけてみると、裏紙用の固めの画用紙と表用のピカピカした紙、蝶ネクタイ用のひらひらした紙がセットになって売っていた。 さすが、地元100ペセタショップ。(通貨がペセタからユーロに切り替わって5年もたつというのに、この名で呼ばれることの多い雑貨店)

 そしてカーニバルのパレード当日。 校内に入って、写真を撮ってもよいということになっていたので、わくわくして学校に出かけた。 入学式も運動会も授業参観もない、この学校で、カーニバルは、ほとんど唯一、子どもの学校の様子を見られる行事らしい。カーニバル仮装

 3歳から5歳までのちびっこ70人ほどが色とりどりのマーブルチョコレートになり、まずは学校のまわりを一周。 その後、親も一緒に校庭に入り、子どもは円になってカーニバルの歌を歌って、あとは自由時間。 つまりは、子どもの仮装を写真に撮らせてあげましょう、くらいのものだったが、マーブルチョコレートに手足がちょこっと生えてる感じの仮装は、人数が集まるとさらにかわいらしかった。

 画用紙で作る衣装くらいなら、親の負担も大したことはないし、
来年のカーニバルもちょっと楽しみだ。(笑)

 

No.288

2月13日 SARA (グラナダ)

 今日はフラメンコの話題。
バールをたたんだおかげで自分の時間が増えて、フラメンコのクラスや自主練や、教授活動にも復活しだしました。 丁度1月から復活したクラスから、なんと、憧れのバタ・デ・コーラの振り付けが始まりました! 嬉しい!

 これは何物かと申しますと、ひらひらのフラメンコのスカートの後ろの部分がさらにひだひだ、どぴゃーっと1メートルか1メートル半くらい長くなっていて床に引きずっている、重さもたっぷりあるスカートのことです。 これを踏まないように上手くひきずって踊ったり、回転したり、蹴り上げたりしながら踊るので、普通のフラメンコの舞踊技術とはちょっとちがったものが必要です。

 フラメンコ舞踊の伝統的なものとも言えるかもしれません。 このバタを使って有名な踊り手には、ミラグロス・メンヒバル、とか、マティルデ・コラルとかがいます。 日本でもビデオとかで見れるので興味ある方は是非!

 どうして憧れてたのに、10年以上も習わなかったんだ? そう、言い訳は、憧れすぎたために、私には絶対出来るわけ無い、と思ってしまったのです。 それに、その有名なお二人にはセビージャまで行けば習う機会はあったのだと思いますが、基礎くらい固めていかないと、と思ってました。 怒られるのが怖かったんですねー。

 で。 その基礎をどこでやったらよいのかわからなかった。 そこいらじゅうでバタのクラスってやっているわけではないのです。 逆に言うと、クラスを探す方が大変、と思います。

 しかし、再びよく考えてみれば。 私の今の先生、マリキージャもバタはかなり上手いのだった!と思い、うーん、チャンスがあればと去年考えていたものでした。 舞台で踊るとまではいかずとも、舞踊知識として身につけたいと思ったし、失われつつある伝統を守る意味でもいいかな、と考えが変わったものでした。

 そうしたら、なんと。 先ほど書いたように、復活した1月からのクラスで丁度バタのクラスが始まったのです! 私ってなんてついてるんだ!と思いました。
これは神様が私にバタを踊れと言っている!(調子いい)

 いや、でも、ほんと。 マリキージャの学校でもバタのクラスはここ10年で2〜3回だったと思います。 しかも、それは、夏の特別クラスで5日間とかっていう感じでです。 普通のクラスでやる、ということは、曲の振り付けが3〜4ヶ月かかるので、30時間以上はじっくりバタの振り付けを習えるということです。 きっと今年のクラス編成が比較的少人数でプロを目指す子たちが多いからかもしれません。 経済的に見ても、練習用スカートでも300ユーロはするものを買えるというのはスペインでは、親が相当期待かけてる証拠です。

 クラス仲間で10歳、12歳の少女達がバタをもうさばいて踊る中、最初は先生の貸してくれたバタで私がほんとうに、四苦八苦してました。 ちょっと棒立ちになってしまったとき、先生が気が付いて「今日は、バタが初めての人がいるから、ちょっと体を温める意味でもテクニカをやりましょう」といってくれました。

 そして、私に「体がある程度できてるからきっとできるから信じてやってみて」といってくれました。 ああ。 またこの人は支えてくれる。 左側の体が右側よりずいぶん不器用で思ったように動かないが、右側は何回か綺麗にバタが舞った。 それは、ビデオで何回も見た憧れのバタの動きと似ている! もうこの瞬間、私ははまってしまった。 知識程度なんて思っていたが、もう夢中になってしまった。 こんな素敵な瞬間がまだフラメンコにはあったのか!

 バタのことで踊り友達に相談電話をしたことがあった。 真新しいことをやるより、マントンを使った踊りをちゃんと踊りあげていくほうがいいのではないか、ということを相談したら「バタというのは、ものにしてしまえば、マントン等の小物を使った踊りより踊りやすいよ」と言っていたのを思い出した。 そのときは、実際やったことないので、想像もつかなかったが、うーん、なるほどと思った。 自分の足、しっぽ、とか、体の一部として扱ってしまえばいいのね。 と、まあ、理屈はともかく、練習、練習。。。と。 私の東京のフラメンコの先生にもうれしくてメールした。 バタを始めました!と。 そうしたら、返事に笑ってしまった。 「バタはやるとはまるかもよ。 がんばって」 ハハハ(笑)。 もうはまってます。

 実はもう目標は決めていて、このバタで舞台で踊ってみようと思ってる。 たぶん私の舞踊スタイルにもあってるし、もっとこの伝統をみんなにも見て欲しい。 私のフラメンコ仲間の間でも、敷居が高いイメージがあるみたいだし、クラスも少ない。 もっと私が踊ることによってそのイメージが変わって、ああ、私もやってみよう、とかってなったりするとうれしいな。 ああ、私がやっても大丈夫、だと困るんだけどね。 ミラグロスさんや、マティルデさんの舞踊のラインとはたぶん違うラインでいくと思うけど、バタの美しい芸術性は出てくれないとやる意味はないですからね。 では、次回の舞台にご期待!

 

 

No.287

2月6日 Maki (横浜)

昨日は、スペイン一色の素敵な夜を過ごした。

スペイン在住のギタリストである旧友のKoniさんの来日コンサート。
仕事を終えた足で、横浜から東京・市ヶ谷の会場に向かう。
時間的にコンサートには間に合わなかったけど。

久しぶりのKoniさんに会うのももちろん大事な目的だけど、昨日はもうひとつ大きな目的が。

それは、スペイン好き仲間のリーダー的存在だった大切な旧友に、「会う」こと。
2年前に急逝してしまった彼女を偲んで、仲間の手による追悼写真展がこのコンサート会場のロビーで行われたのだ。 今回、私は何もお手伝いできなかったのだけど・・・。

5年前にも、同じようにKoniさんの来日公演で、この同じ会場で、スペイン写真展を行ったことを思い出す。
あのときは、彼女がリーダーとして仲間みんなを引っ張ってくれた。
そんな彼女への感謝をこめて、今回はスペインをこよなく愛した彼女の作品の一部を、仲間の手で蘇らせたのだ。

会場に到着すると、今回の実行部隊の仲間たちと、大きなパネルに引き伸ばされた彼女の笑顔が「出迎えて」くれた。

コンサートが終わるまでのわずかな時間、ワインを片手に、スペインからも日本各地からもたくさんの仲間から寄せられたメッセージのファイルや、壁やテーブルいっぱいに飾られた写真を鑑賞。

その写真はほとんど全て、旅行ジャーナリストでもあった彼女が愛するスペインで撮ったもの。スペイン各地の色鮮やかな美しい景色はもちろんのこと、私はいつも彼女が得意としていた、スペインの生活風景の数々に目を奪われてしまう。
食べ物や飲み物。道端に寝そべる動物。庭の花々と植木鉢。お店の看板。祭りの衣装に身を包んだ人々。 etc. etc.
今にもスペインの街のざわめきや人々の息遣いが聞こえてきそうなほど。。。
彼女がいかにスペインを愛していたか、スペインの日常の生活を記録することに情熱を傾けていたかがよくわかる。

そして何よりも、そんなスペインの風景の中にいる彼女自身の写真の笑顔は、本当に楽しそうだった。

彼女の名前は、りえさん。
RIE(偶然にもスペイン語で「笑って!」という意味になる)という名前のとおり、いつもその笑顔で、たくさんの仲間をも笑顔にしてくれた人。
きっと昨日も、近くまで降りてきてくれてたよね。 楽しかったよ。ありがとう。
これからもずっと、私たち仲間の近くにいて、一緒に笑ってくれてるって信じてるからね。

そして、2次会でもたくさんの懐かしいスペイン仲間と再会。
普段の日本の生活ではすっかりスペインから遠ざかってしまった私だけど、こうしてこの仲間に会う事で、自分の中のスペインへの気持ちを保ち続けていられるのかもしれない。

そしてそして、忙しい中で写真展を準備してくれた実行部隊の仲間のみんな、今回何もお手伝いできなくてごめんね。本当にどうもありがとう。

りえさんやみんなと出会わせてくれたスペインに、心から感謝します。

 

 

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