3月9日、スペインの総選挙があった。
4年に一度の首相の座が左右されるこの選挙、4年前には右よりのPP(民衆党)政権から左よりのPSOE(社労党)に政権交代が起こった。 この2004年の選挙では予定されていた投票日の直前にイスラムのテロでスペイン歴史上最大の惨事が発生するという非常事態となり、投票は数日後に延期された。
この数日の間に、政府が行ったテロに関する発表に多くの国民が反発して抗議運動を起こし、事件前は優勢に見えた与党が得票予想を覆されるという、犠牲者に失礼な言い方をこの場で許していただくと、ドラマチックな展開の後に現政権が成立したのだった。
さて、自分の政治的傾向をかなりはっきり表明するここでは、私の周囲ではほとんどといってよいほど「政治的な右」を嫌う。 おおよそ、多くの欧州の国の一般市民が持つ政治的傾向なのだろうと思うけれど。
そんな現政権支持の周囲が多い中でも、やはり物価の上昇で現政権に不満を持つ人も多く、増え続ける外国人(自分も入るのだけれど)に嫌気をさす人たちも多く、興味津々(興味だけでなく、とうぜん自分の生活に直接反映されるのではあるが)でこの選挙戦をチェックした。
正式に選挙戦の火蓋が切って落とされた後に企画、放映されたディベート番組、2大党首(つまりどちらかが次の首相になることが決まっている人)の一騎打ち討論、などなど、見ていると論議のすれ違いや勝手な解釈、不毛な言い合いにいらいらすることもあるのだけれど、結構「我ながらよく見たよなぁ」と思うほど見たと思う。
そして、選挙直前。4年前の選挙と同じではないが、今度はETA(バスク独立を目指す過激派テログループ)によって選挙2日前に犠牲者(1人の元市議が暗殺された)が出るという事件が発生し、選挙戦の最終締めくくりはその犠牲者追悼のため尻切れトンボで終了した。
結果は現政権、PSOE(社労党)が過半数に満たないものの議席を伸ばし政権を保持。 反対勢力も政権を取れない敗北ではあったけれどやはり議席を伸ばし大きな勢力を持ったまま、対立することになった。
が、2大政党のどちらも(とうぜん、政権を賭けた勝負で敗北した政党にはそれほどの明るさはないにしても)にこやかな会見を行い、なんとなく「お祭り騒ぎ」が終わった感じ。自分が乗せられていただけ、かもしれないけれど。
見ていたテレビ局がそうであったのかもしれないが、報道もなんとなく、にこやか。どこかの党の人が言ったのか、コメンテータが言ったのか、定かではないのだけれど、「投票という民主主義の権利を謳歌する日」というような表現がふと、心に残った。
選挙権を持ってそれほど長い間日本にいたわけではなかったけれど、日本にいた当時はこんなに選挙に興味を持つことはなかったのに、勝手なものだ。 選挙権がないと、「選挙権があれば、今日は投票に行ったのに」などと思うのだから。 しかも、在外投票ができるようになったというのに、一度もその権利を行使していない。 でも、やはりあの「xxxにお願いします」と名前を連呼する選挙カー、タスキ、選挙ガールみたいなコンパニオンを連れているのが日本の選挙運動なら、またちょっと気がうせるかも、しれない。