ちょっと前のわたしたち

【No.339】9月3日 Norie * 【No.340】9月10日 かおる
【No.341】9月24日 Taka

No.341

9月24日 Taka (東京)

もう9月も終わりですねえ。
朝晩が冷え込んできて秋を感じると、なんとなく淋しいもんです。

この秋はちょっといろんなことがありました。
念願の新婚旅行は夫が休みをとれぬまま早々に諦めたものの、私は9日間のお休み。
何もせずに過ごすのはイヤだなと1人でスペインに行くことを決意。

夫も賛成してくれ、
スペインの友人たちにも連絡をとり、再会を約束。
航空券も早々と自宅に届き、珍しく早くから準備が整っていた。
その矢先、

「あなた、昨年までの独身時代とはもう違うでしょ!?
もう結婚しているのだから、夫を置いて1人でスペインだなんて誰に聞いたって変な話よ!」

思いもよらぬ、
夫の両親からの反対。
もちろん、へこんでしまいました。

これは身勝手というもの? 私って非常識なの?
いろいろと悩んで考えて、
でも、やっぱり私のライフスタイルからスペインを外すことはできない。

「嫁が1人で海外旅行に行くことを、なかなか理解できないかもしれないけれど、
今回だけではなく、これからもありうることや、
私という人がそういう人であることを理解してもらいたいのよ~」

と、夫や母親、友人に泣きついた。

夫は、「僕がいいって言ってるんだから、いいんだよ」と。
母親は、「あちらのご両親がそう思うのも無理ないわ。あまり我を通したらダメよ」と。
そして友人は、「理解してもらうなんて考えは止めなさい。
理解してもらうのじゃなく、諦めてもらうのよ」と。
こればかりは、なるほど~と思った。

結論を先に言うと、
結局、スペインへは行けなかった。
夫の両親は最終的に折れてくれたのだが、出国できず。

実は、出発の2日前、
国際免許証を取りに行こうとパスポートを確認して、出国できないことが発覚。
はい。
この先は、あまりにも恥ずかしい失態のため、書くことはできませんッ。
「いったい、この騒動はなんだったんだ?」

白紙に戻ったようで、白紙ではない。
ただひたすら疲れて、意味のない前例を作ってしまった。

「じゃあ、休みはどうするか決めた?」と聞いてきた夫に、
「鹿児島で癒されてこようと思うんだけど、もうこのことは内緒でいいよね」

そして鹿児島に帰った私を待ち構えていたのは、
台風13号。
マジっすか?

「“あんたの木"が屋根に当たって瓦とかを飛ばしちゃう~」
暴風雨で揺れる、庭の木を窓越しに見ていた母親が悲鳴を上げる。

“あんたの木"とは、私がスペインに住んでいた10年前に大好きだったジャカランダの木。
種をこっそり持ち帰って大事に大事に育ててきた木が、屋根のはるかに上空で右に左にと揺れていた。

「夜になる前に切り落としてくれない?」
呆然と見ていた私に母親が渡してきたのが、カッパとのこぎり。
マジっすか?

着ていてもまるで意味のないカッパに包まれ、
両腕に乳酸がたまってもたまってもギコギコと頑張って切り落とした幹。
こんなところでスペインとご縁があるなんて……

そして、夜。台風の目に突入すると天気予報ではしきりにまくしたてていたが、
雨戸の向こうはシンと静まり返り、鈴虫の美しい音色さえ聞こえてくる。

「あんたが木を切っていたときが1番、ひどかったね」
翌朝、カラリと晴れた空を見上げて母親が笑った。
疲れた……。

「厄払いしといた方がいいんじゃない?」
友達も笑いながらそう言った。

しかし、
痛みの残る9月だった~!
次回のスペインこそ全てがうまく行きますように!

 

 

No.340

9月10日 かおる (マドリード)

 同じような話題が続いて恐縮だけれど、今、スペインはこの話題の季節なのだ。

 それは・・・・「年度始め」
単に3ヶ月近い夏休みが終わるというだけでなく、新しい学年、入学とまさしく新年度が始まる。

 店頭には学生用の9月から始まるスケジュール帳が並ぶ。 いきなり朝晩の涼しさを物理的にも感じるなぁ、と思ったら、完璧に気分的な夏も終わっているのだ。 遊び気分ももう、おしまい。

 私には子供がいるわけでもないので、あまり年度始めには関係はないのだけれど、やはり周辺があわただしくなってくると、一つのサイクルが終わったなぁ、と思わずにはいれない。 個人的には、年度始まりは秋よりも、すべてが芽吹き、自然のサイクルに対応していると思える春の年度始まりのほうが好きだ。 毎日、日が長くなっていって、新緑は美しく、動物たちも子育ての時期に入る。そんなすべてが自然に新しい季節を迎えるという季節に入学や入社という節目の旅立ちがあることは、とてもふさわしく、前途に希望が持てるような気持ちがする。

 それに対して、秋の年度始まりというと、一日、一日と日暮れが早くなっていくことを実感し、これから向かっていく年末へのあわただしさも手伝って、いっそう圧迫感が強いように思えるのは私だけだろうか? だから、この季節、私はあまり好きではないのだ。

 7月、8月のマドリードはゆったりしている。 特に8月は不況のあおりで最近は少なくなったとはいえ、多くの人たちが長期のバカンスに出かける。 出かけなくても通勤や通学の送り迎えはぐっと減る。 通勤に時間はかからないし、仕事もゆったりしているので、私なんて「8月にバカンスを取るなんてもったいない!」と思うほど。 それが8月が終わると一気に渋滞に巻き込まれ、新年度を迎える準備でイライラしている人たちで道はクラクションがいっそうけたたましく鳴らされる。 喧騒が一気に戻ってくるのだ。

 そして、マドリードではローカル休日が火曜日にあったため、本日(これを書いているのは9月10日です)にずれ込んで、多くの学校で最初の授業があった。 いつものように通勤に向かおうと路上駐車している車に向かったが、道はぎっしり2重駐車で埋まっている。 うわ、こんな光景、久しぶりだ。 私の車はもちろん、1列目。

 なぜかというと、近くに保育園があるのだ。 通勤前のパパ、ママが子供たちを預けていく。 当然みなさん車で来るので、駐車スペースもなく、道は2重駐車で埋められる。 いつものことなので、クラクションを鳴らしてちょっと待つ。 でも、誰も駆け寄ってこない。

 保育園に顔を出して、車の車種と色を言って、持ち主を探して車を動かしてくれるようにお願いしようと保育所を覗くと、初日で興奮しきっている子供やそれに手を焼いている先生や親の顔・・・自分のことでなければ誰もかかわるヒマがなさそう。

 待つこと15分強。 これは、いくらなんでもないだろう、レッカー車呼んでやる!と憤慨し始めた頃、やっと若いパパがすまなさそうにやってきた。 「今日は最初の日だし、子供が泣いてね・・・クラクションにも気づかなかった。」 こういわれると、怒ることもできない。 パパも通勤前に大変だったのだからね。

 というわけで、私も遅刻で始まった年度始めでした。

 みなさんの年度始まりはいかがだったでしょうか?

 

No.339

9月3日 Norie (バリャドリード)

スペインの子どもたちの長い夏休みも残すところわずかになりました。
ちなみに、うちの子の幼稚園は9月10日から新学年が始まります。
今年の夏休みも日本に里帰りしていたので、数日前にスペインに戻って、久々に同い年の子どもを見かけ、びっくりするくらいたくましくなっていたり、真っ黒に日焼けしけていたり、それぞれの夏の思い出が見え隠れするようで、微笑ましい気分になっています。

日本滞在中、「スペイン語、しゃべってみてよ。」と周囲に頼まれても、一言もスペイン語を使いたがらなかった息子は、いつもの公園に戻った途端、スペイン語モードに切り替わったようで、ほっと一安心。 スペイン語を理解しない相手に、どうしてもスペイン語が出てこなかったんだろうなぁ。

さて、そんなおちび君。日本に着いたばかりの日には、靴のまま家に上がり込み、泡だらけのまま浴槽に入ろうとし、ショッピングセンターのエレベーター付近に並んだ50台を軽く超えるガチャガチャに鼻息を荒くしました。(スペインはせいぜい4台)。 おじいちゃんの仏壇に手を合わせることを学び、虫取りを気に入り、ひろった蝉の抜け殻を宝物にしていました。 毎日、映画やプラネタリウムや遊園地や山や・・・といろんなところに遊びに連れて行ってもらい、5日間の水泳教室にも通い、温泉にも入り、回転寿司も堪能しました。

日本って、ほんと子どもと遊ぶ場所に困りませんねぇ。 3週間、毎日違う場所に出かけて遊んでいられるんですから。スペインで子どもと夏休みを過ごすとしたら、毎日近所のプール行って、時々、海水浴に出かけて、一週間くらい海辺でのんびり、かな。 それもいいな。

さて「遊び倒した」という言葉がぴったりな夏休み。
少しずつ、元の生活を取り戻し始めましょうか。

 

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