もう9月も終わりですねえ。
朝晩が冷え込んできて秋を感じると、なんとなく淋しいもんです。
この秋はちょっといろんなことがありました。
念願の新婚旅行は夫が休みをとれぬまま早々に諦めたものの、私は9日間のお休み。
何もせずに過ごすのはイヤだなと1人でスペインに行くことを決意。
夫も賛成してくれ、
スペインの友人たちにも連絡をとり、再会を約束。
航空券も早々と自宅に届き、珍しく早くから準備が整っていた。
その矢先、
「あなた、昨年までの独身時代とはもう違うでしょ!?
もう結婚しているのだから、夫を置いて1人でスペインだなんて誰に聞いたって変な話よ!」
思いもよらぬ、
夫の両親からの反対。
もちろん、へこんでしまいました。
これは身勝手というもの? 私って非常識なの?
いろいろと悩んで考えて、
でも、やっぱり私のライフスタイルからスペインを外すことはできない。
「嫁が1人で海外旅行に行くことを、なかなか理解できないかもしれないけれど、
今回だけではなく、これからもありうることや、
私という人がそういう人であることを理解してもらいたいのよ~」
と、夫や母親、友人に泣きついた。
夫は、「僕がいいって言ってるんだから、いいんだよ」と。
母親は、「あちらのご両親がそう思うのも無理ないわ。あまり我を通したらダメよ」と。
そして友人は、「理解してもらうなんて考えは止めなさい。
理解してもらうのじゃなく、諦めてもらうのよ」と。
こればかりは、なるほど~と思った。
結論を先に言うと、
結局、スペインへは行けなかった。
夫の両親は最終的に折れてくれたのだが、出国できず。
実は、出発の2日前、
国際免許証を取りに行こうとパスポートを確認して、出国できないことが発覚。
はい。
この先は、あまりにも恥ずかしい失態のため、書くことはできませんッ。
「いったい、この騒動はなんだったんだ?」
白紙に戻ったようで、白紙ではない。
ただひたすら疲れて、意味のない前例を作ってしまった。
「じゃあ、休みはどうするか決めた?」と聞いてきた夫に、
「鹿児島で癒されてこようと思うんだけど、もうこのことは内緒でいいよね」
そして鹿児島に帰った私を待ち構えていたのは、
台風13号。
マジっすか?
「“あんたの木"が屋根に当たって瓦とかを飛ばしちゃう~」
暴風雨で揺れる、庭の木を窓越しに見ていた母親が悲鳴を上げる。
“あんたの木"とは、私がスペインに住んでいた10年前に大好きだったジャカランダの木。
種をこっそり持ち帰って大事に大事に育ててきた木が、屋根のはるかに上空で右に左にと揺れていた。
「夜になる前に切り落としてくれない?」
呆然と見ていた私に母親が渡してきたのが、カッパとのこぎり。
マジっすか?
着ていてもまるで意味のないカッパに包まれ、
両腕に乳酸がたまってもたまってもギコギコと頑張って切り落とした幹。
こんなところでスペインとご縁があるなんて……
そして、夜。台風の目に突入すると天気予報ではしきりにまくしたてていたが、
雨戸の向こうはシンと静まり返り、鈴虫の美しい音色さえ聞こえてくる。
「あんたが木を切っていたときが1番、ひどかったね」
翌朝、カラリと晴れた空を見上げて母親が笑った。
疲れた……。
「厄払いしといた方がいいんじゃない?」
友達も笑いながらそう言った。
しかし、
痛みの残る9月だった~!
次回のスペインこそ全てがうまく行きますように!