ちょっと前のわたしたち

【No.296】5月15日 かおる * 【No.297】5月22日 Taka

No.297

5月22日 Taka (東京)

ゴールデンウィークにスペインへ行こうと思った。 昨年秋にとったマイレージのチケットをキャンセルした分がまだ使えたから。 でも、いざ日程を決めて、キャンセル待ちだった飛行機の区間も無事にとれたという連絡が入った頃には、なぜか気分は実家のある鹿児島に帰りたい〜となっていた。

 迷ったあげくに急遽、鹿児島に帰ることにした。 今回、キャンセルしたマイレージは9月中旬まで有効ということで、9月8日出発の予約をあらたに入れなおした。 まだキャンセル待ちの区間があるが、仕事関係にも先手を打ってその旨を伝えた。 決定だ!

 そうそう。 帰省のその日、飛行機に乗って気がついたことがある。 約1時間半の空の旅。 なんと、お尻が痛いのだ! 実は、数ヶ月前に、尾てい骨にひびを入れてしまった。 家の近所のERでレントゲン検査をしたところ、「あらららら、なんでまたこんなところを……」と同情された。

 尾てい骨にひびが入ったからと、なんの手当てができるわけではなかった。 痛みを薬で抑えつつ、自然治癒を待つだけ。 とはいえ、自然治癒には下手したら3年ぐらいかかるかもなどとおどされた。 今年に入ってから、手足に火傷もしていたし、本当についてない。 と、いうより、注意力不足の自分が情けなかった。

 まぁ、そんなこんなで、飛行機にのってから気がついたのだ。 今回のスペイン行きはキャンセルして正解だったこと。 とてもじゃないが、長時間、椅子に座り続けているという体勢はいまの私には無理。 椅子の上に正座でもしていればまだ少しはいい。 でも、“楽“を求めて、どっかーんと社長座りなどしていたら、10分でお尻が痛くなる。

 鹿児島は相変わらずのんびりしていて、海もきれいだった。 今回は、仕事もさほどしないですんだし、気分は良好。 毎朝、温泉に行き、昼から友達とドライブしたり、岩盤浴に行ったり。 そんななか、しつけのできていない愛犬2匹の散歩の途中で思い切り、転んだ。 「友達100人作るんだー」みたいな小学1年生ぐらいの子供たちが、「お姉ちゃん、大丈夫?」と駆け寄ってくれた。 うちのバカ犬たちは、走って逃げ、遠くで電信柱に立ちションしている姿が見えた。

 両ひざ小僧に大きな擦り傷が出来た。 ついでに腕にも手の平にも。 その日、久しぶりに会った友達には、「わぁ、ひざ小僧の傷って小学校の頃以来じゃない? あの頃は、よく作ったよね!」と、懐かしがられた。

 東京に戻ったら、ベランダのゼラニウムの花が満開になっていた。 水があげられずに、枯れかかっているのではと心配していたのだが、どうやら私の手は要らないらしい。

 本格的に仕事を復帰したらあっという間に、いつもの東京暮らしに戻った。 ときどき、この歳になってもまだ自分が確立されていないなと思うことがある。 おだてられるとすぐに木に登ってしまう。 そして、深夜にはたと気づくのだ。 なんでこんな余計な仕事をしているのだ?と、げっそり。

 そして、そのうさを晴らしに、近所で飲みまわる。 あっちでウナコパ、こっちでウナコパ。
“金を使わない客“
  だから、客らしい扱いはあまり受けない。 ときどきカウンターを布巾で拭いていたりする。

 そういえば来週、仕事で沖縄に行く。 沖縄と行っても離島だ。 宮古島、多良間島、石垣島、竹富島と行かなければならない。 でも、本当の目的地は多良間と竹富だけ。

 「うっそー、飛行機の乗り継ぎがすごく悪いー」
「うっそー、ここでまた余計に1泊しなくちゃなんないよー」
「うっそー、ソフトバンクの携帯は電波入らないらしー」

 職場で悲痛の声で叫んでみた。 たぶん、プライベートの仲間が近くにいたら、とっても嬉しそうだということがバレたところ。

 すでに入梅している沖縄とはいえ、そんなところに1週間近くもいたら、もう東京には戻れないかもしれない。 戻らないかもしれない。 あー仕事が辛いーと今日も叫んでおこう(笑)。

 

No.296

5月15日 かおる (マドリード)

スペインは今、5月27日に行われる地方選挙のための広報キャンペーンの真っ最中。
4年ごとに行われるこの選挙は、翌年に行われる総選挙の獲得票予測にもなるというだけに各党への票の動きが大きく注目を浴びることになる。

 今政権を握っているのは、PSOEと表示される社会労働党。 彼らは2004年3月11日に起こった、イスラム過激派によるマドリードの列車爆破テロ事件の3日後に行われた総選挙で前与党の民衆党(PP)に取って代わって政権をとった。 今回の地方選挙は、2008年に行われる総選挙で政権を維持できるか、それともまた政権交代があるのかを予測するバロメーターともなるのだ。

 自分が住む国の政権を誰が握るのか? 自分が住む、直接的に生活にかかわってくる町を治めるのは誰で、どんなイデオロギーを持つ人なのか? そんな状況に大きな関心はあるものの、一市民として義務である税金を納め、社会保険も支払っている我々外国人には、残念ながら選挙権は与えられていない。 何十年住んでいようと、「外国人」であるからには、選挙権は有さない。

 日本に住んでいるときには、成人すると与えられる選挙権について深く考えたことはなかった。 しかし、こうやって、外から自分がこの権利を有さないという立場に立ってみると大きく疑問がわいてくる。 「なぜ、その権利が与えられないのだろう?」 例えば、スペイン在住の「外国人」であっても「EU国民」であれば選挙権を有する。 例えばそれがスペイン語をほとんど理解せず、各候補者の主義主張を十分に理解できなくても。

 世界的にもほとんどの国が外国人に参政権を与えていないことからも、(当然のことながら日本もその多くの国の1つだ)「当たり前」といってしまえばそうなのかもしれない。

 こちらの友人や知人とこれらの政治の話になることも多い。 多くのスペイン人は政治談議が好きだ。 そんな時、他の友人たちが主張するように、自分もこうしたい、こう考える、という気持ちがあったとしても、その実現のために、たった一握りの土を盛るための権利がないことを実感し、ふがいなさを感じることもある。 私などはまだ成人してからこちらに住んでいるからよいとしても、スペインで生まれたにもかかわらず、スペイン人の親を持たないため、外国人として登録され選挙権を持てない、パスポートで定義される国籍で選挙権を持たない人たちもいるのだ。

 難しい問題だと思うが、これだけ人の往来が多くなってくると、今後検討されるテーマであるのだろうな、と思う。 そんなことを思いながら、蚊帳の外ではあるけれど、この地方選の行方を興味津々で見守っている。

参考:
スペイン国籍を取得した外国人有権者数 約54,000人、EU外国人有権者数(市選挙のみ有権) 318,571人、2004年にEU参加国人の有権者数(市選挙のみ有権) 78,179人、ルーマニア人有権者数(市選挙のみ有権) 58,611人、ブルガリア人有権者数(市選挙のみ有権) 12,019人

 

 

 

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