ちょっと前のわたしたち

【No.333】7月9日 Norie * 【No.334】7月16日 かおる
【No.335】7月24日 Taka

 

No.335

7月24日 Taka (東京)

先日、40歳にしてついに結婚しました。
「ずっと1人でいると思ってたーーー」
とは、たくさんの友人からも言われましたが、
誰よりも仰天していたのは、私自身だったかもしれません。
“結婚しない"とも、“1人で生きるんだ"とも思ったことはなかったけれど、
自分には、結婚というものに縁などなさそうだ、とは思っていたので、
実はいまでもまだピンとこない~。

「新婚旅行はスペインにしよう!」
と、仲良く2人の意見が一致。
ワクワクしながら、スペインのどこへ行こうかと計画を練ったりしたものの、
お互いに全く異なる仕事をしているため、
肝心のスケジュールが組めません。
休みが合わない、休みがとれない、
なんとなく“6月か7月には"と思っていた予定が6月になっても確定せず、
結婚後にした初めての大ゲンカは、それが原因……。

「ふつか? 2日間?」
唯一、2人一緒に休みが取れたのは、6月末の2日間のみ。
マジーーー?
キレました。
2日間でどーやってスペインに行くのよぉ……。

でも、やっと取れたお休みだから、
新婚旅行のことは忘れて、
2泊3日で石垣島へ行くことに。
もちろん、3日目は早朝帰りです。

石垣島に着くと、
なんとなく初めてスペインに行ったときのような、
ワクワクドキドキという気持ちを思い出しました。
シュノーケルして色とりどりの魚たちに会い、レンタカーで島を一周。
高速船で竹富島へと渡り、レンタサイクルであっちの海、こっちの海へと行ったり来たり。
星砂の海岸でのんびりビールを飲み、赤瓦の家並みを見ながらすっかりご機嫌。
「沖縄に住みたい」

昔、スペインに住みたい! と思っていたように、
沖縄に住みたい! という新たな感情がむくむくむくむくと発生。
小さな家を借りて、庭の畑でゴーヤとヘチマを育てるのよ~
妄想の世界は限りなく美しく、楽しい。

2泊3日はあっという間ながら、
1週間もいたような、充実感。
心温かい島人たちと青い空、スコールの雨、白い砂、エメラルドの海に別れを告げ、
いざ飛行機に。

Taka「楽しかったなぁ。次回はもっとゆっくり来ようね」
彼「1週間あれば、別な島も巡れるな」
Taka「でも、1週間あればスペインにも行ける」
彼「それにしても楽しいハネムーンだったなぁ」
Taka「え? 新婚旅行はスペインでしょう」
彼「でも、実質、ハネムーンじゃないの、コレ」
Taka「新婚旅行だったら、素泊まりの宿になんか泊まらないよッ!」

そして、私はいま、9月のスペイン新婚旅行を計画中。
たぶん、1人旅になってしまうだろうな……と悟りながら。

 

No.334

7月16日 かおる (マドリード)

 今、スペインのスポーツ界は乗りに乗っている。
おかげですっかりスポーツ観戦三昧(ただしテレビ前、ですが)の日々をすごした。

 まずは、サッカー。 44年ぶり2度目の欧州カップ優勝。
今までどこか危うさがあり、勝つだろうと思われている試合にもなんとなく押切られて負けるというパターンが重なり、「決勝リーグ進出どまり」「永遠のベストエイト」などと揶揄されていたスペイン・ナショナルチームだが、今年は違った。

 決勝トーナメント前のブロックでのリーグ戦でもいつもの危うさがなく、決勝リーグに入ってからも強豪を相手に安定したパス展開と粘り強さ、落ち着き、積極的な攻撃など総合的な強さを見せた。

 私は特にサッカーファンではないけれど、ワールドカップや欧州リーグなどはかなり一生懸命に見る性質だ。 長年スペイン代表を見続けているけれど、こんなに「もしかしたら、いいところまでいくんじゃない?」と思わせてくれたチームは初めて見た。 テレビ放映権を持つチャンネルが今回の欧州カップのキャンペーンに使った「ポデモス」(われわれにはできるんだ!)というキャッチフレーズ。 最初は今までの自身のなさと「大丈夫かなぁ」という不信感が表現されたように聞こえたが、チームが勝ち進むにつれてだんだんそれが確信になっていったのは面白い大衆心理だったと思う。

 決勝戦は野次馬根性マドリードのセントロのバルで観戦。 数時間前からセントロにはスペインチームの赤いTシャツや国旗をマントにした人たちでごった返し、遠くから見ると巨大な広場や通りが一面真っ赤に見えるほど。 テレビのコメンテーターか誰かが言っていたけれどこの現象は「きっと、みんな、何かにつながっていたいんだろうね」そうなのかもしれない。 みんなが酔いしれた、酔わせてくれた欧州カップ最終日6月29日。

 そしてその興奮もまだ覚めやらぬ7月6日。
テニス、ウインブルドン決勝戦。雨天のために中断され5時間近くにもおよぶ長丁場の試合。 翌日の各新聞がセンセーショナルに史上最高の試合と書きたてたその評に違わず、最高のエンターテイメントでテニス界トップのライバル同士が酔わせてくれた。

 エレガントさとテクニックで巧いテニスをするロジャー・フェデラー、ストレートな強さで真正面から攻めるラファ・ナダル。最初はナダルが2セット連取し、意外と簡単に覇者となるかとも思われたが世界ランキング・ナンバー1のフェデラーはそう簡単に敗れる相手ではない。 危機に陥ってもすばらしいファーストサーブを決める強さ。 接戦に次ぐ接戦が続き見ているほうも力が入る。 最終的にナダルがフェデラーを破り、初のウインブルドン制覇を果たした。 若干22歳。 まだまだ将来が楽しみな選手だ。

 今年はフォーミュラ1のフェルナンド・アロンソが低迷しているけれど自転車レースのツール・ド・フランスでもスペイン人選手がトップ争いに名を連ねている。

 このような選手の活躍はすばらしい、とてもすばらしいのだけれど、サッカー欧州カップ決勝戦の帰り道での出来事は残念だった。 メトロに降りると路上での興奮冷めやらぬ人たちがあちこちで騒いでいる。

 私が乗ったメトロの車両では8人くらいの少年たちが「俺はスペイン人」という、応援フレーズ歌をメトロの車両の中で大合唱。 みんなが飛び跳ねるので、メトロの車両が揺れ、スピードは落ちる、途中で止まる、車両内の電気を壊しかける、の暴行一歩手前。 私の2人隣に座っていた明らかに移民と判別できる風貌の男性にそのグループの視線が届くと、その「俺はスペイン人」を数人の少年たちがいっせいに彼の耳元で叫びだし、絡んできた。

 一人で大混雑の地下鉄に乗り込んでしまった私は「次に私に来るかも・・・」とひやひやしたが、幸いそこにはおよばず、移民の男性もじっと嵐が通り過ぎるのを待つように抗議をせず何事もなく嵐は過ぎ去った。

 自国の選手がスポーツのような分野で世界的にクローズアップされると、にわかナショナリズムが沸きあがる。それは大いに歓迎すべきところも多いと思うが他者の努力に上乗りするだけ、他者を排除するような間違ったナショナリズムにはなってもらいたくないものだ、と思う。 今度はもうまもなくオリンピックが始まる。

No.333

7月9日 Norie (バリャドリード)

 友人のとある武道グループがフィエスタ・ハポネサ(日本祭り)を開催した。 以前から企画はあり、いよいよ具体的になってきたのが今年の3月。 夏休み前の一日、ということだったので、わたしたちは頼まれもしないのに急いでパック酒や乾き物のおつまみを手配し、SAL便で輸入した。

 「参加者は全員キモノを着ること」
とのお達しで、浴衣や甚平を持っていない参加者のためにインターネットで通販をする。 ネットショッピングをしたことのある方ならよくわかると思うが、少しでも安くて品質の良さそうなところを探すのは結構時間がかかる。 「友だちのため」と思えばこそ、夜中にごそごそと通販サイトを探し、画像やURLを添付したメールを書き、それぞれの希望にできるだけ添ったものを購入。 女性で177センチという、とびきり背の高い人が3人もいて、ただでさえ合うサイズを見つけるのが難しいのに、それぞれの柄を違うものにしなくちゃ、とか、帯を結ぶのは大変だろうから、成形済みのワンタッチ帯がいいだろうとか。 考え出すときりがなかった。

 見積もりを出して、写真で柄の確認をとり、早速購入。 それなのに「急に用事ができて、フィエスタに参加できなくなったから、やっぱり要らない。 キャンセルしてください。」「送料が思ったより高いのでキャンセルします。」「やっぱり帯だけ買うことにします。」 などなど、ワガママな後出しメールが続出。 わたしたちは、武道用品店を営んでいるので、彼らはおそらく商品を購入したり、キャンセルしたりする感覚だったのだと思う。 しかし、わたしたちは手数料は一切とってなかったし、友人が企画・主催する日本祭りを応援したい一心だったので、このあっさりキャンセルには泣けてきた。

 彼らのボスは、「まず代金を受け取って、それから通販してください。」と言っていたのに、送料を節約するため、できるだけ早い時期に安い手段でまとめて送りたかった、わたしたちの先走りといえば先走り。

 また、和食を出したいから手伝ってと4月の時点で頼まれ、5月のとある祝日に打ち合わせをすることになっていた。 それなのに、その後、連絡は一切なし。 「どうなったの?」とこちらから聞くと、「ごめーん。 アストゥリアスの家族に会いに行ってました。」との返事... それならそうと連絡してください。 そして、また連絡が途絶えたので、ま、別にいいや。 結局、彼らの打ち上げパーティみたいなもんなんだし、と放っておいた。 お習字もすることにしていたけど、なんだかアホくさくなって、お習字セットだけを貸すことにした。Fiesta Japonesa

開催日2週間前。
「おにぎり、お好み焼き、天ぷらを作ろうと思うんだけど、デザートの団子が上手くいかないの。 どうしよう~」という泣きのメールから予想すると、怒濤の勢いで準備を開始したらしい。 お習字セットや展示用の掛け軸をとりに来たのは前日。

当日。
あまり期待せずに行ってみたら、ディスコがすっかり和風に飾られていた。 浮世絵の暖簾の入り口、折り鶴のモービル、書道、鎧、刀、盆栽、etc.etc. スペイン人全員が浴衣や甚平を着て、動いているというのがまず圧巻。 ノートパソコンに書道や折り紙のやり方を動画で流し、お客さんが実際にマネしながら扱ってみられるという工夫にも感嘆した。 和食も完璧。実際に説明しながら海苔巻きを作ってみせる場面では、お客さんが鈴なりで企画的にも大成功。

 結局、はらはらプンプンしていたわたしたちより、最後の2週間で一気に準備をやりとげ、お祭りを楽しみきった彼らの勝ち。(笑)

 

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