ちょっと前のわたしたち

【No.290】3月6日 かおる * 【No.291】3月27日 Taka

No.291

3月27日 Taka (東京)

 桜の花がようやく咲き始めた。 東京でやっと二部咲きというところでしょうか。 これから一気に満開に向かうのだろう。 でも、東京の天気は予報によるとしばらく曇りや雨が続くらしい。 あーあ。

 でも、春が来ると嬉しい。 洗濯をしていても単純に嬉しい。 寒さに身を縮める必要もなく、心が躍る。 煩わしいことなど忘れて花の下を歩きたいね。 スニーカーを履いたらどこまでも歩けそうな気がする。

 先日、昨年秋に行きそこなったスペイン往復チケットを眺めていたら、ふと“やっぱスペイン行きたいな"って思った。 仕事の確認をしてみたら、1週間強の休みが確保できそうだったので早速、予約を入れてみた。

 4月21日成田発 マドリード行き、4月28日マドリード発 成田戻り。

 でも、帰りの便だけはキャンセル待ちだ。 まだ、とれるかどうかはわからない。 それでもワクワク感が高まってくる。 春の海に行きたいなー、今回はゆっくりと過ごしたいなーって、思う。 いつものように友人のいる町を巡るのではなく、海のある町の居心地のいい宿に滞在して、今回は友人に遊びに来てもらうのもテ。 いろんな空想にふけりながら、この春の夜を楽しんでいる。

 ところで、鹿児島にいる幼馴染じみの心友は、長い闘病生活に終止符を打ち、元気を取り戻している。 手術前と同じような日常生活は未だおくれないものの、夜は焼酎を飲み、10キロ以上減った体重も元に戻りつつあるそうだ。 いつか一緒にスペインに、という夢をかなえるのはもう少し先。 でも夢は実現に向かって繋がっていることを感じると嬉しい。

 そうそう。 東京は未だスペインバルのオープンラッシュ。 にわかスペインという店も多いけれど、それでもスペインが感じられる店が増えるのは嬉しい。 そんななか、数日前に久しぶりに、昔、行きつけだった渋谷のスペインレストランに顔を出した。 ずっと頭の隅にありながらなかなか顔を出せなかった店。

 私の悪いところは、いつも“思っているだけで行動に移さない"こと。 「それはイコール思っていないってことよ」と友達や親からもよくしかられる。 その日は渋谷で仕事をしていたにもかかわらず、そしてその店のことを思っていたにもかかわらず、自宅のある恵比寿へ戻り、駅の近くの別なバルで1杯。 その後で思いなおし、渋谷へ戻って2年ぶりぐらいにその店へと一人顔を出した。

 ここには、私がスペインを好きになった当時を思い出す、初心に戻れるような空間と顔ぶれがある。 それなのに全然、顔も出していなかった。 他のバルにはくまなく行っているのに、だ。 前に行った時でさえ、「全然、顔を出さないじゃないか」と言われ、それからさらに2年。 私がオーナーだったら、人でなしとプンプン怒っているところ。 それなのに、オーナーもスタッフも両手を広げて迎えてくれた。 嬉しかった。

 私って単純。 でも本当に涙が出るほど嬉しかった。 そして思った。 大事にしたいものを大事にできないようじゃ私はまだまだダメだな!と。 これからは大事にしたいつながりを本当にちゃんと大事にできる人になれるよう生きていこう、と。

 春だし、スペインだってもうすぐそこで待っている。
これからの季節に私にも皆さんにもいいことが舞い降りますように!

 

No.290

3月6日 かおる (マドリード)

 ここ最近の世界的に共通する話題といえば、「異常気象」かもしれない。 やれ、南極の氷が解けているとか、ホッキョクグマの生息が危ぶまれているとか、世界各地で大雨や洪水の話。 スペインにも実は氷河があるのだけれど、その氷河の面積は20年ほど昔に比べ、70%から80%も失われているという。 この調子で氷河消滅が進めば、あと数年で何万年と続いた氷河がスペインから消え去ってしまうことになる。

 そんな北極や氷河はまだ実際に目の当たりにしない遠くの話なのだけれど、一番身近に、そんな気象の変化を感じたのは、毎年咲くアーモンドの花の開花だった。 almendraアーモンドという植物は、バラ科の植物でその仲間には桜も属している。 バラ科というと、可憐なバラの花をイメージするかもしれないけれど、実はイチゴやリンゴもこのバラ科の植物。 そして、アーモンドはモモや桜にとても似ていて、まず越冬をした植物は葉よりも先に一斉に花を咲かせる。 これは春到来の象徴的な風景で、このスペインでも、桜のお花見ならぬ、アーモンド花見ができるのだ。(このことは以前にも書いたかもしれない)

 私はこのアーモンド花見をしなくては、毎年春を迎えた気分にならない。 公園に行ってわっと咲き乱れるアーモンドを見ているだけで、幸せな気分を満喫できるのだ。 しかも、アーモンドには、微かだけれど花に香りがあって、ふわっと、そこはかとなく甘い香りも漂ってくる。 そんなアーモンド花吹雪に浸っていると、ついつい、極楽にいるような、上等な気分を味わえる。私にとって、お手軽な気分転換のテラピーなのだ。

 今年も例年よりも2週間ほど早く咲きはじめたアーモンドを満喫しに公園に散歩に行ってみた。 ところが、今年はつぼみが膨らみ始める時期が異常に早かったのか、花だけでなく、葉っぱも少し出始めている。 しかも、咲き方がいつものように一様ではない。 暖かすぎる晩冬に、まだ睡眠の足りない木も目覚ましスイッチをかけられて戸惑っているのかもしれない。花見

 日本でも「入学式」のシンボルだった桜の花のステータスが危ういとも聞いた。 入学式よりも卒業式シーズンのシンボルになりつつある、とも。 日本にはいつも季節の変わり目ごとの花を愛でる習慣がある。 その習慣、俳句の季語が変わっていくのも世の流れに逆らえないことなのかもしれない。

 そんな危惧はさておき、この花を愛でないでおくにはもったいない、と何人かで集まってお花見ランチを公園で開いた。 このイベントが恒例になっても、集まる時期がどんどん早まるようなことにならなければいいけれど。

 

 

 

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