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世 界 遺 産 * スペイン南部 *

 コルドバの歴史地区とメスキータ, 1984
Mezquita y Centro histo'rico de Co'rdoba
メスキータのアーチ

 8世紀初頭、イベリア半島を広範囲にわたって制圧したイスラム教徒は支配下にあった地域を「アル・アンダルス」と呼び、コルドバに首都を置いた。そして756年にアブデラマン1世が即位し、後ウマイヤ朝が誕生。1031年に後ウマイヤ朝が崩壊するまでコルドバは首都として栄華を極めた。10世紀には人口が50万人に達し、モスクは30を超え、コンスタンティノープルとバグダードと並ぶイスラム世界における文化、芸術の中心地となった。
 アブデラマン1世は785年に大モスク(メスキータ)の建設を命じた。メスキータのある場所にはローマ時代には神殿が、西ゴート時代にはサン・ビセンテ聖堂が建てられていた。当初は聖堂の一部をモスクとして利用していたが、アブデラマン1世はそれを全面的に作り変えてモスクにした。その後、アブデラマン2世、アル・ハッカム2世、宰相アルマンソールによって拡張された。その結果、2万5千人もの信者を収容できる規模になった。その規模とともに、装飾の美しさも世界有数のモスクとなっている。
 レコンキスタ後、メスキータはキリスト教の聖堂になった。そして16世紀前半の聖堂参事会によって内部に林立している円柱を部分的に取り壊し、そこにカテドラルをつくることが決定され実行された。
 メスキータのすぐ近くに建っていたイスラムの王たちの王城アルカサルは14世紀にアルフォンソ11世によって改築され、グラナダ奪回のための軍事拠点となった。ローマ橋の南に立つカラオラの塔はイスラム時代に建てられた要塞の一部で、ローマ橋からの侵攻を防ぐ役割を果たしていた。

 グラナダのアルハンブラ宮殿、ヘネラリフェ庭園、アルバイシン, 1984
La Alhambra, el Generalife y el Albaicin de Granada
ライオンのパティオ

 レコンキスタが進展してくるとキリスト勢力に追われたイスラム教徒たちはグラナダへと集まってきた。1031年、コルドバの後ウマイヤ朝が崩壊すると、グラナダはコルドバにかわるイスラム文化の中心地となった。1238年、ムハンマド1世はナスル朝グラナダ王国を建国、15世紀になると人口は40万人に達した。
 アルハンブラ宮殿はムハンマド1世が事実上の起工者となり、その後、20人の王によって増改築が繰り返された。有名なライオンのパティオは14世紀につくられた。矩形をしていて中央に12頭のライオンの彫像が支える噴水があり、124本の大理石の柱が並ぶ回廊に囲まれている。回廊の周りには、天井の鍾乳石飾りが美しい二姉妹の間などのハーレム宮がある。他にも、二連窓の間、大使の間など、随所に緻密で繊細な装飾がほどこされている。
 アルハンブラ宮殿に隣接するヘネラリフェ離宮は13世紀に君主たちの別荘として建てられた。噴水をそなえたパティオが美しい。  アルハンブラ宮殿から眺めることのできるアルバイシン地区はアラブ人が最初に砦を築いた場所でグラナダがキリスト教徒に奪回されてからはイスラム教徒たちの居住区となった。

 セビージャのカテドラル、アルカサル、インディアス公文書館, 1987
Catedral, Alca'zar y Archivo de Indias de Sevilla
カテドラル

 様々な民族によって支配されてきたセビージャは1091年にアルモラヒデ族によって支配され、1147年にアルモアデ族の支配下におかれた。アルモアデ族によって、城壁、ミナレットを備えた大モスクが作られ、街が整備された。
 1248年にフェルナンド3世がセビージャを奪回し、大モスクはカテドラルへと変えられた。しかし、1403年に既存のカテドラルの建て直しが行われ、125年間もの長期間にわたる工事のためにゴシック様式、ネオ・ゴシック様式、ルネサンス様式の特徴を持つ。大モスクの跡地に建設されたため、建物は矩形をしており、世界で3番目の規模を持つ大聖堂となった。カテドラル脇に建つヒラルダの塔は当初、モスクのミナレットとして建てられたが、改築の際に鐘楼となった。
 アルカサルは要塞兼居城としてアルモアデ時代に建てられた。イスラム、ムデハル、ゴシック、ルネサンスなど様々な建築様式を併せもつ。ペドロ1世時代に大規模な改築が行われ、緻密で美しい装飾が施された。特に、「大使の間」と呼ばれる広間はムデハル様式の傑作と言われる。
 インディアス公文書館はフェリペ2世の治下に交易所として建造された。設計はフアン・デ・エレラによる。カルロス3世の治世に新大陸に関する文書を一箇所にまとめるため上階を公文書館として利用するようになった。

 ドニャナ国立公園(セビージャ、ウエルバ), 1994
Parque nacional de Don~ana

 セビージャ県とウエルバ県にまたがるグアダルキビール河の河口の三角州地帯に広がるドニャナ国立公園は自然遺産に登録されている。その面積は7万5千ヘクタール以上で、スペインの国立公園の中では最大。ドニャナ国立公園では、砂地、湿地、地中海気候性森林の異なった三つの生態系が存在し、そこに生息する動物や鳥の多様性は貴重である。冬期の気温が温暖なことから多くの水鳥が越冬に訪れ、また、渡り鳥たちの中継地にもなっている。野生動物の宝庫とも言われ、絶滅の危機にさらされているイベリアオオヤマネコはここにしか生息していない。
 自然保護のため立ち入りは制限されているが、毎年春には、ロシオへ向かう多くの巡礼者たちがこの自然公園を横切る。また近年、汚水の流入や大気汚染などによる環境破壊が懸念されている。


 

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