マドリード・スタイル 
       第2回 DON ALGODON

DON ALGODON 今年の秋冬物から、マドリードに何軒もある各店舗を全面改装して、すっかりイメージチェンジしたDON ALGODON。
 少し前までの木目調の壁、棚を基調にした店舗は、とても狭い空間にたくさんの服がぎっちり並んでいたため、客が足を踏み入れるのに少し面倒な感じさえ与えていたそれは、白い壁と白い棚、街の外光をたっぷり取り入れるための透明のガラスに変わりました。店内の服の配列も、デザイン、生地別にきっちり分けて並べられ、見易さ、あわせやすさをも配慮した空間に変わっています。
 店舗設計の変更と共に、服のデザインも一新。あまりすっかり変わってしまったので、お店の人に訊ねてみるとやはり、デザイナーも変わったとのこと。新デザイナーのJuan Duyosは既に雑誌等で紹介されていて、店員さんは丁寧に雑誌の切抜きを見せてくれました。

 今回、このメーカーで特に目を引いたのが、同じ布地で、スーツ、コート、バッグに靴まで作ったところ。TRUCCO,TINTOLET等の同クラスのメーカーで、靴まで合わせたというのは見たことがないので、ここが初めてではないかと思います。
 バッグ、ブーツ類も、世界の流行にあわせたモダンなデザインと今までに無い人目をひく色遣いに挑戦、入ったばかりのヒールの靴をちらりと見せてもらいましたが、白地に黒の大胆な水玉柄で、売れるのかしら?と心配になるほどの物でした。
 頂いたカタログも見ているだけで楽しいとってもモダンな仕上がり。1人のモデルを「エレナ」という名前の女性に仕立て、彼女を主人公にした物語風のものになっています。驚きは、その中に、日本ではずいぶん前から既に一般的な着こなしになっていますが、日本に行くスペイン男性に特に評判の悪い、ヒールに靴下を合わせたコーディネートが登場していること。
 「こういうスタイルって、保守的なマドリードでうけるかしら?」
 という疑問に、店員さんは真面目な顔で答えてくれました。
 「年配の人、40代以上には受け入れられないと思うけど、若い人はきっとこういうスタイルにも挑戦していくと思うわ」

 私が店員さんの一人に声をかける少し前、身長160cmくらい、短い髪にボリュームたっぷりのマスカラ、巧みに入ったチークと、ジーンズの裾からちらりとのぞく、鮮やかな緑のシャープな靴が印象的な女性がお店の人たちと二、三言葉を交わして出て行きました。
 「さっきの彼女が、ここのバッグと靴のデザイナーよ」
 もう少し早くお店の人に声をかければよかったな、と思いつつ、一瞬にせよ、このメーカーの重要なイメージを支えるキーワード的女性を垣間見ることができたのだと思うと、ふっとため息がもれたのでした。

今回のお店 http://www.donalgodon.com/

● プロフィール
清水 良子
1969年京都生まれ。
龍谷大学短期大学部で、短大卒のタイトルをゲット後バブルMAX期に大手電器メーカーにもぐりこむ。4年半のOL生活後、女子社員の99%が結婚&出産退社していく中、遊学退社。アイルランドのダブリンで英語留学中に、ホセに出会う。
英語で苦労したため「また一からかよ〜」と思っていたのに、既に在マドリード6年目くらい。

1.FOSCO 2.NECK & NECK
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