留学生活のぞき穴
第3回 グラナダ大学・大解剖!−語学編

 HOLA AMIGOS!
 あけましておめでとうございます〜!

 もう2003年も終わり、私のグラナダ留学も折り返し地点まで来てしまった。10月にグラナダ大学の外国人コースが始まり、あらゆる場面で生活が一気に動き出した。スペインにいながらも日本並の忙しさで、1日1日を過ごしていくことに精一杯な日々を過ごし、外国人コース前期の3ヶ月を短距離走のような勢いで、休みなく走りきった気分だ。今は少しヘトヘト・・・。12月中旬に期末試験が終わり、今は年末年始で日本へ一時帰国している最中。この期間にまたパワーチャージし、2004年という新たな年に、新たな気持ちでもう一度スペインへ旅立つ。

 メールを頂いた全ての皆さま、お返事が遅れていてごめんなさいっ!!家族や友人にさえ筆不精で忘れられかけている私なので、お許しを・・・。1人1人のスペインとの物語に感動しながら読んでいます。色々な人がそれぞれの思いとそれぞれの運命と共にスペインと出逢っているのだなぁ、と。スペイン時間の気長な文通仲間になりましょう。

 さて今回は、7月末から12月中旬までの5ヶ月間通ったグラナダ大学を大解剖!私は、8月9月の2ヶ月は外国人コースに備えるため、語学インテンシブコースを取り、その後10月から今年5月までのEstudios Hispa'nicos(スペイン学・外国人コース)に在籍中である。現在ちょうどこの前期が終わったところだ。

◆ 語学インテンシブコース


学校のパティオ

 グラナダ大学は外国人コースの他に語学コースが設置されている。期間は2週間・1ヶ月・3ヶ月コースの3種類があり、6〜9月は1ヶ月もしくは2週間コース、1月は1ヶ月コースのみ、そして、10〜12月と2〜4月には3ヶ月コースがある。レベルは下からInicial A/B、Intermedio A/B、Avanzado A/B、Superior A/B、Perfeccionamientoの9レベルに分かれており、最初にレベル分けテストを受け、自分のスペイン語力に適したクラスへ的確に振り分けられる。もちろん自分に合わないと判断したら、レベルを変えることも可能だ。日本では短期なら大学の語学コースよりも私立の語学学校の方がよいという意見をよく聞くが、8月のコースでは1ヶ月の短期スペイン語留学でグラナダ大に来ている欧米からの学生がたくさんいた。授業は1日4時間×週5日。2人の先生がそれぞれ2時間の授業を行なう。一クラスの生徒数は多く、8月のクラスは何と15人もいた!!先生さえ"何この大人数〜!"と驚いていたほど。8月にクラスを変更したのだが、その移動先のクラスは11人で、2週間後に4人抜けて7人になった。9月のクラスは10人で一ヶ月変わらなかった。さすがに15人のクラスではディスカッションしていてもまとまらないし、1人当たりしゃべれる時間もかなり少なく、先生との距離も遠かった。でも、10人のクラスでは学生数が多すぎると感じたことはなかった。

 詳しくはグラナダ大のホームページを。
 グラナダ大学
 http://www.ugr.es/~clm/htmlesp/index.htm

◆ 私立の語学学校との違い

 グラナダ大の語学コースは、1ヶ月か2週間単位でクラスが編成される。つまり、月始めにレベル分けテストがあり、生徒も先生も「はじめまして」の状態で始まり、たいがい月末までメンバーは変わらない。多少、最初の2週間だけしかクラスを取らない学生もいるので、2週間目に誰かが抜けちゃう、ということはあるけれど、2週間後に新たな人がはいってくるということはない。

 この点で私立の場合は、毎週月曜日が入学日になっていて、1週間単位で履修できるため、毎週メンバーチェンジが繰り返されることが多い。3年前にバルセロナで私立の語学学校へ通った時は、固定メンバーももちろん数人いたが、毎週必ず誰か新しい人が入ってきたし、お別れのタイミングもみんな違った。今でも覚えてる。語学学校の初日、ドキドキしながら教室に入った。クラスメイトがみんな自分の名前を言っていくんだけど、誰の名前も聞き取れなかった。先生の名前も聞き取れなかった。一通り、名前だけ紹介して、じゃあ授業を始めよう、とすんなり授業に突入した。私にとっては初スペインの、記念すべき初めてのクラスでも、他のクラスメイトにとっては何でもない普通の月曜日だった。そして休み時間などに、もう相当仲良しな(そう当時の私の目には映った)彼らの中に入っていくのにも、ちょっと努力が必要だった。

 一方、グラナダ大の場合は1ヶ月固定メンバーで、一ヶ月のコースを一緒に始め、一緒に終える。だから、授業初日は自己紹介に2時間費やしたり、最後の授業では全員で連絡先を交換したり、みんなでその夜お疲れパーティーをしたり・・・と高校のクラスのような雰囲気もあった。(もちろんそのクラスのメンバーによる。)友だち関係を作るにしても、もともと出来上がっている空間に入るわけではなく、ほぼみんな初対面だからやりやすい。


仲良しだった8月のクラスメイトと

 8月のクラスは最高だった。最初、レベル分けテストでAvanzado Bに振り分けられたものの、先生とも気が合わず、イタリア人が6人くらいいてペラペラでレベルも高すぎると感じ、2週間目からは一個下のAvanzado Aにクラスを変更した。変更して大正解だった。移動した先のクラスでは、先生ともクラスメイトともバッチリ気が合い、授業内容も"あ〜これを逃してたら大変だったな"という内容で、大満足の夏を過ごした。8月は4つの過去形の使い分けを習得したことにすごく意義があったと思う。今まで"こんなのどれか一つあればいいじゃん、面倒くさい"と思っていた、線過去と点過去も、"やっぱり二つあるのには、その必要性があるから存在するんだなぁ、確かにちゃんと描写するには二つ必要だ"と納得するようになった。先生の教え方も、日本や他の国での教え方とだいぶ違うらしく、新しい文法を習う度に、みんな"でもオレの国ではこうやって教わったんだけど"という声が続出。そう。Avanzadoのクラスではみんな一通り文法を習ってきた学生だったので、もう知っている知識を使いこなせるように訓練する、そして変に覚えていたものを使える知識に変えていくという作業だった。何度も目から鱗状態になり、幾度も"あ〜日本でスペイン語勉強していた今までの3年間は何だったんだろう・・・"と苦笑いをした。もちろん、日本でしっかり日本語で文法を習っていたからこそ、今現実に目の前にあるスペイン語に微調整をするだけでいいのだとは思うのだけど。こうして、大嫌いだった文法も、スペイン語を使いこなすためのツールとして見直すようになった。

 読者の方から、授業内容に関して私立の語学学校との違いがあるか?1週間単位で出入りがあるクラス環境だから、授業の内容が前後したり、進度が遅かったりするのか?という質問を受けた。私は、私立の学校もきっとプログラム、カリキュラムがあるので、内容が前後することはないと思う。でも誰かから質問があれば、それを説明するだろうし、そういう部分で、一度聞いた説明を再び聞く、という機会はきっと大学でも語学学校でも、あるとは思う。確かに、グラナダ大では全員一緒にスタートするから、みんなの足並みが揃っている。クラスに慣れていけばペースアップもしていく。でも、いくら同じレベルに分けられたクラスメイトだとは言え、多少レベルに差はあるし、得意不得意もみんな多種多様。9月のクラスで、アメリカ人学生たちが何度説明しても間接・直接目的格人称代名詞(Yo se lo di.とか)を理解してなくて何度も質問していた時は、かなりストレスが溜まった。ドイツ人の子は"これは100万回説明を受けているわよ"とみんなの正面で嫌味を放つ。先生も"まだこれが分からないのか!?"という顔をしてるから、私はでしゃばって先生とは別の方法で説明してみた。果たして通じたかは分からないが。でも、あんなに簡単なことを、ナゼ理解できないのか!?!?と何度も首をひねった。アメリカ人ほとんどがよく間違ってたから、これは英語文法とかなり違いがあるものだから彼らには難しいのかな。・・・ということで、どの学校に行っていても、このようなストレスはあるものだと思う。だから、その分自分が分からないこともとことん分かるまで質問するようにすれば、お互い様ということで納得がいくのだろう。私は8月は最後の2週間、9月は1ヶ月間、クラス唯一のアジア人だった。だからきっと、他の学生には簡単なところで私はつまづいていただろうし、分からないことはとことん分かるまで粘って質問している私に、他の学生はイライラしていたかもしれない。でも、それに文句を言われたことは一度もない。主張したもの勝ちなんだ。

 語学コースのレベルについて。よく、"最初から大学なんてスゴイ"とか"難しそう"と言われる。実際、10月からグラナダ大の外国人コースを取っている日本人の子達も、その多くは他の私立の語学学校に通ってからグラナダ大に来ている。でもグラナダ大の語学は難しいというのは、勘違いだと思う。グラナダ大の語学コースは、InicialからSuperior、さらにPerfeccionamientoと9段階にレベル分けされているから、ちゃんと自分に合ったレベルのクラスに入れる。だから、大学といえども、語学学校とは変わらない。例えば、Avanzado Bのクラスで一緒だったアラビアンな友人は、一度もスペイン語を勉強しないで来て、Inicial A(一番初心者のクラス)から始めて6ヶ月目でAvanzado Bまでのぼりつめていた。だから、大学だから授業内容が難しい、ということはないと思う。他の大学について無知だけど、グラナダ大に関してはいわゆる外国人コース(Estudios Hispa'nicos)と語学コースは別物で、外国人コースはそれなりの語学力が必要だけど、語学コースは語学を学ぶためのコースだから、語学学校と授業内容に差はないはず。ただ環境が違うのは事実。ステイ先など、生活面でどれだけ面倒を見てくれるかなど。この辺のことはコラム第2回で書いたが、グラナダ大は全部自分で手配しないといけない。週単位か月単位か、授業外のサービスを望むかどうか、その他値段やアクティビティにも違いがある。様々な違いとその利点・欠点を吟味してみよう。

 また、都市を変えるというのもアリだと思う。外国人コースの始まる前の数ヶ月を違う都市の語学学校で過ごしたという友達も複数いる。たとえ1ヶ月の短期滞在でも旅とは違う経験とその都市での思い出ができるし、他の都市でのスペイン語を知ることもでき、意味のある選択だ。このように、選択肢はたくさんある。その中で自分の目的で選ぶのがベスト。私は他の都市で…なんていうアイディアは思いつきもしなかった。だからグラナダ一直線。でもその選択も良かったと思っている。私は夏のグラナダとも出会えたし、秋も冬も過ごしたし、これから春のグラナダとも出会える。グラナダにほれ込んでいる私にとっては、複数の都市を渡り歩くよりも、居心地のいい留学なのだ。それに、外国人コースに入るにあたって本当は必要な入学テストも8・9月と2ヶ月通って、先生たちも私のレベルを分かっているので、テストが免除された。ラッキー
 それぞれの選択肢にそれぞれ利点があるので吟味して、自分にあった留学スタイルを見つけよう。

◆ 語学と訛り

 最後に、訛りについて。グラナダ訛りは激しい。すんごい激しい。他のアンダルシア訛りとの差を比べたことはないのだけど。よく"アンダルシア訛りを聞き取れるようになったら、どこのスペイン語でも分かるようになるよ"と言われる。それは確かに本当かもしれない。南米のスペイン語は訛りがある人でも、すーごく聞き取りやすいし、マドリードやバルセロナの人がきれいにsを発音していると、いくら早くても聞きやすい。聞き取り能力を伸ばすという意味で、アンダルシアに来るのはいいことだ。あとは自分も訛っちゃうか?ということだが、これは自分の意志次第だと思う。私は個人的にグラナダ訛りが大好きであのスペイン語が話せたらカワイイな〜と内心習得をたくらんでいるけれど、はっきり言って外国人の中途半端な訛りは分かりにくいだけだと思う。グラナイーノ(グラナダ訛り)のネイティブのようにはその訛りを表現できないから。アメリカ人の友だちがグラナイーノっぽく話してても、ちょっとイライラしちゃう私なのでした・・・。(笑)普通に話せばいいじゃん!って。コモエター?(?Co'mo esta's?)とか言われてもねぇ。もしかしたら、無意識に訛りがついてしまったのかもしれない。でも、訛らないように意識すれば訛らない、と私は思う。それに、たまにグラナイーノの真似して遊ぶのも楽しいし。ただ、人によってはグラナダ訛りが耳に障るという人もいる。フランス人の友だちで、アンダルシアに訛りがあることを知らずにグラナダに来てしまったという子がいる。一度、彼女が"グラナダ訛りムカつく(me molesta)"、と言った時はその発言に私がムカついてしまい、"グラナダに訛りがあるのは明白なわけで、それであなたがこの街を選んで来たのだから、彼らの話し方について批判するのはおかしいと思う。標準スペイン語が聞きたいなら、あなたがその都市を選ぶべきでしょ"と言った。そしたら"訛りがあるの知らなかった"と・・・。彼女のように、知らずにグラナダに来てしまい、訛りと相性が合わなかったというのは悲劇だ。でも、私は個人的にすごくグラナダ訛りは可愛いと思うし、繰り返しになるが南米などの他の訛りさえも気にならなくなるので、オススメだ。
 ちなみに、語学コースでは先生はアンダルシア出身でも訛りなしの標準スペイン語で授業をしてくれる。スペインに着いた8月、グラナダ訛りに苦戦していた時、先生の分かりやすい標準スペイン語に癒されたのは事実。でも、9月のクラスでは先生もわざと自然な速さ(めっちゃ速い)で、しかも少し訛り交じりで話し、学生が"もう少しゆっくり話してくれ"と言っても、"これに慣れないとだめよ"と一点張り。そして10月からの外国人コースのグラナダ大の教授たちは、語学の先生ではないので、まさにグラナダ訛りの先生も数人いた。そして、もちろん教室を一歩でたら、グラナダ訛りの世界である。

 グラナダ大語学コースについて私の経験と考えをまとめてみた。きっと感じ方には個人差があるので、同じグラナダ大で学び、違う考えを持つ人もいると思う。1人の留学生の一意見ということで参考にして、後は自分で体験してみてください〜!次回はグラナダ大外国人コースについて書きます。

● プロフィール
今泉陽子
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、グラナダ大学Estudios Hispa'nicos(外国人コース)に留学中。趣味は写真、フラメンコ、サルサ、茶の湯。詩が好きで、ロルカを追い求めてグラナダへ。「日本とスペインの架け橋」なるものを目指し、日々修行中。
文通しましょう → yoyofeliz@nifty.com
(写真)アルハンブラ宮殿を背景に

2.グラナダでの生活設計【ホームステイ】 4. 5度目の引越し
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