<あらすじ>
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劇場で偶然隣り合わせに座ったマルコとベニグノ。
数ヶ月後、二人は「森」という名の私立クリニックで再会する。
その「森」で眠り続ける二人の美女。
女闘牛士のリディアは闘牛の角にかけられ、
バレリーナのアリシアは交通事故で植物人間となった。
「人」ではなく「物」となってしまった恋人リディアに戸惑うマルコ。
そんな彼にアリシアの専属看護士であるベニグノは言う。
"Hable con ella, cue'nteselo."(彼女と話して、語りかけて。)
相反する性格を持つ二人が同じ境遇を持つことにより友情を深めていく。
.........
<コメント>
「オール・アバウト・マイ・マザー」がオスカーを受賞し
ラ・マンチャの鬼才が世界の偉才となってから早二年、
待ちに待ったアルモドバル監督の新作である。
アルモドバルと言えば見終わった後に強烈に残る「赤」の印象。 巷では北野ブルーに対抗してアルモドバルレッドと呼ぶらしい。(嘘だけど)
病室でのシーンが多い今作、
監督は病院の持つ「痛み」「悲しみ」などの寒色イメージを払拭するために壁や廊下の色などを塗り替えさせるなどして結構大変だったみたいです。
大変だったと言えば、
アランフェスの闘牛場で撮影されたリディアの闘牛シーン。
映画の撮影の為だけに四頭の闘牛を実際に殺してしまった残虐性を問われ 動物愛護協会から訴えられてしまいました。
女性を中心に置き、いかにもアルモドバル的な役者さん達を贅沢に使う、
そんないつものアルモドバル作品とは全く趣を異にするのが今回の新作です。
アリシア役は“Son
de Mar”(邦題:マルティナは海)で注目を浴び、 “A mi madre le gustan las mujeres”(ア・ミ・マドレ・レ・グスタン・ラス・ムヘレス)で演技派と呼ばれるまでになったレオノール・ワトリング。
リディア役のロサリオは問答無用の大御所歌手。
えっ、知りませんか?
美空ひばりの娘でジャクソン・ファイブの一員、とでもイメージしてみて下さい。
マルコ役はアルゼンチン出身のダリオ・グランディネッティ。
ベニグノ役のハビエル・カマラは主にTV界で活躍しています。
愛する人が突然植物人間となってしまったらどうするか?
マルコは反応の無い彼女に虚しさと絶望をおぼえ、
ベニグノは声が届いていると確信し、日々彼女に話しかけ続けます。
コミュニケーションの大切さを伝えたかったのでしょうか。
通じ合っていたベニグノとアリシアには奇跡が起こり、
マルコの愛する人は死んでしまう。
なんてロマンティックなお話なんでしょう、
とは一概に言えないのがアルモドバルのアルモドバルたる理由。
その訳は・・・内緒です。
ミチ
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