留学の秘訣教えます


13. 学生ピソ相談受付日記(1)

某月某日
 このサイト(@Spain)で連載をされている今泉さんのコラム"5度目の引越し"を読了。ひどいピソの大家の話に、他人事ながら怒りに飲んでいた缶ビールを握り潰す。更に今まで仕事で出遭ってしまったトンデモ大家の面々の脳内リストアップをしてしまった。

 ホームステイを商売としてやって生活をしている人と同じく、ピソ家賃の上がりに頼りきって暮らしている人というのは多い。親から譲り受けたピソを学生に貸し出し、自分もそこに住んで仕事もしない-なんていうナマケモノも中にはいる。備品の修理や補填は一切やりたがらないくせに、家賃の取り立ては厳しく、何かしら難癖をつけるために頻繁にやってくる。絶対に入りきらない人数を入れてしまう、などケチの王道を行くのがこのタイプ。こういう人達から借りたピソで不運にもトラブルがあった場合、まったく話にならないレベルの喧嘩になってしまうことが多々あるのだ。ただ、この手の大家をどうやって見極めるか、なんてことは至難の業だろう。契約書や領収書のチェックはぜひお勧め。そして不幸にもトラブルに見舞われた場合には、まず速やかに次の住処を探し始めることが先。話し合いで円満解決することを期待せず、相手の罵詈雑言に耳を貸さず、あくまでビジネスライクに処理していくつもりで対処しよう。あなたの貴重な時間をつまらない揉め事で潰すことはないのだから。

某月某日
 学校から斡旋された学生ピソに住んでいる方からのご相談。夏ということで短期滞在の外国人がどんどん入ってくる。完璧なバケーション体制でやってくる彼らはまったくスペイン語を喋る気無しのため、ピソ内の共通語は英語に。なおかつ週末友人らを束で招待してどんちゃん騒ぎをしでかし、近隣住民が警察に通報。まったくスペイン語がわからない彼らのために通訳で借り出され、さんざんだったとのこと。

 この手の相談を受けると、ご本人には申し訳ないが"スペインの夏の到来"を感じる。
 学校側でも"ピソはパーティー会場ではありません"等いろいろな規則を書いたものを玄関に張ったりするようだが、誰も読んでないのだろう。面倒くさい手続きをせず、到着日から入居できる場所を確保できる、というのは願ってもないことだが、語学学校の管理しているピソはいわゆる外国人ピソであることが多い。いろいろな国籍の学生達との共同生活は楽しいことも多いが、この相談者の方のような目に遭うこともある。

 結局この方は居住人数の少ないピソにかわって貰って満足されたよう。もっと長期滞在ならば、ご自身で新しい場所を探されることも薦めただろう。

某月某日
 スペイン人との同居ピソに入居された方から、さっそくもう引越しをしたいとのご相談。"誰も話しかけてくれないのでスペイン語の勉強にならない"からだそうだ。最初に聞いていた話では3人のスペイン人学生との共同ピソとのことだったが…。"あんたは話しかけようとしたんかい!"という厳しい突っ込みはとりあえず飲み込む。

 ピソの同居人はスペイン語教師ではない。それぞれに仕事やら勉強やら自分の生活があるフツーの人だ。そして最初から友達ではなく、たまたま同じアパートをシェアすることになった人だ。トラブルがなければ、あなたが外人だろうが、スペイン語が喋れないだろうが、知ったことじゃない。そういうところから始めて、じゃあどこまで親しくなれるかというのはお互いの歩み寄りしかないだろう。ただ、他人との共同生活が初経験の方にとっては"どのように同居人との距離をはかるか"の目安がつかめるまで少々時間がかかるだろうが。

某月某日
 "うちのピソの同居人が私のものを勝手に食べるんです!"
 との相談。暑さのせいか、"大丈夫、大いに食べかえしてやりなさい!"という訳の分からん回答をする。この手の話はよく聞くのだが、原因は

---本人が几帳面すぎる。(牛乳コップ一杯、レタス一枚減っていただけで大騒ぎになる。それ以前に減っていることに気がつく…ずっと冷蔵庫内を見張っているのか?)
---相手が単にだらしない。
---相手がそういう習慣の人。(こっちが無い時はもらうけどそっちが無い時は私の使ってね〜のタイプ)

 のどれかに当てはまるだろう。まあ相手と話してみるしか対策がないのだが、それでも効果なし、明らかに故意でやられているのだとしたら、もう同じことをしてあげるしかないだろう。相手所有のりんごを一口齧り、パンの真ん中に穴を空けてそっともとに戻しておいてあげようではないか。

 自分で見つけてきた激安家賃のピソ内で物が無くなる、食べ物を盗まれると嘆いていた人もいたが、もう論外。そんな激安家賃の場所にどんなクラスの人間が住んでいるのか、想像がつかなかったのだろうか。

某月某日
 とある語学学校の宿泊管理をやっている女性と話す、というか最終的にグチを聞かされるはめになる。学校は国籍、年齢ともにいろいろな人達がやってくる場だが、彼らの要望をいちいち聞いて部屋紹介をするのは大変なことだろう。実際間借り人の方にもとんでもない輩がいるらしく、自分の部屋に何人も住まわせる、清掃しない、部屋の壁を勝手にペンキで塗る、物を壊す、盗むなんてトラブルは結構あるらしい。"なんかね、もうそういうことされると怒るとか通り越して悲し〜い気分になるのよぉ。"…ご苦労様です。

某月某日
 "最低1時間はお風呂に入るのが習慣なので、それができる学生共同ピソはないでしょうか"とのご相談。半身浴にはじまってシャンプー、トリートメントなどやると最低1時間、2時間近くかかるのだそうだ。申し訳ないが、私がスペイン人の同居人だったらいやだろう。実際この方は以前住んでいた学生ピソで、同居人に文句を言われて出てきた方だ。それならば水道、電気代込の家賃形態のピソはどうでしょう、と尋ねてみたがこれも大家から突然跳ね上がった水道代についての文句が出るらしい。結局同居人数が少なく、バスルームが2つあり、水道料金について何かしらの折り合いがつけることができる場所探しということになる。

 日本人のバスルーム滞在時間の長さはこの方に始まったことでなく、よく聞く話だ。長い間身についている習慣であるだけに、文化の違う国にいるのだから-ということで急に変えるのも難しいだろう。しかし何人かが共同生活をしている場所、またその中の共同スペースで自分の常識を頑なに通そうとするのはどうだろうか?

 "普通日本では○○ですよね〜?"というのが前出の相談者の口から何度も出てきたフレーズだった。日本国内だろうが、国外だろうが"普通"というものが意外とその個人だけの常識であったりすることに気がつかれることを期待したいのだが。

後藤 美智子
留学の秘訣 《目次》 12.ホームステイという滞在方法(2)


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