”フラメンコは、ヒターノ達の音楽”
スペインに住むヒターノ(ジプシー・ロマ)達。起源は、インドとも、エジプトとも言われている
が、特にスペイン南部、アンダルシア地方に住むようになった彼等の始めた音楽がフラメンコ。
今は勿論、スペイン全土にヒターノ達は住んでいるが、なかなかスペインにとけ込みきれない事が
あったり、彼等自身も固まっているのが好きというのもあり、それぞれ
の土地にはヒターノの多く住んでいる地区がある。
フランスにも、ルーマニアにも、全世界にヒターノは住んでいる。
ジプシー・キングスは、フランスのヒターノ。
”フラメンコはカンテ(歌)から”
フラメンコといえば、踊り! と思うかもしれないが、フラメンコはカンテ(歌)が基本。
それにギターという楽器をプラス。さらに、それに合うような踊りをプラス。
勿論、今となっては、それぞれの3部門が発展し、それぞれのスペシャリストもたくさん
育っています。
”フラメンコのコンパス(リズム)”
フラメンコの独特なリズム形式は、12拍子系のリズム。
1小節が12拍なのである。曲によってアクセントの位置も違うので
初めて聞く人には難しいが、リズムの勉強をすれば、理解できる。
4拍子系の曲もある。
”フラメンコのパロ(歌・曲の種類)”
”フラメンコの木”
12拍子系のパロでは、ソレア・シギリージャ・マルティネーテ。
短調で、速度もゆっくりで、詩の内容も哀しい感じのものが多い。
踊り手の顔にも、眉間にしわが入る。
12拍子系でも速い速度で、詩も楽しい物が入ったりするブレリア。
中間の速度で、長調。詩も、風景や、カディスの海のことを歌ったりする
アレグリア。
ファンタンゴ。ウエルバのファンタンゴは、踊れるように、後からリズムを入れた。
4拍子系のタンゴ。ティエント。
セビジャーナス。セビージャの民謡。1曲のセビジャーナスは、4番の歌で構成されている。
アンダルシアのフェリアでは、夜通し踊られる。リズムはブレリア系。
タブラオなどでは、ショーの最初や最後に踊り手さん達がパリージョ(カスタネット)を持って
踊ることが多いので、おなじみかも知れない。
これが、大まかなところ。
その他、アレグリア系の曲で、一度キューバに渡って、また戻ってきた曲、グアヒーラ。
他、コロンビアーナ。カラコレ。
踊り用に作られた、ファルーカ。
タンゴの種類も、詩や、使うコードの違いで、グラナダのタンゴ、マラガのタンゴ。 と
無数にわかれて行く。
よくフラメンコのパロを説明するとき、1本の大木の絵を用いることがある。
太い幹はソレア。そこからどんどん枝分かれする感じを想像していただくと、
わかりやすいかも知れない。
”曲の構成”
カンテとギターの場合は、シンプル。
歌い手が、ギターと一緒に、ソレアならソレアを
1曲歌い、弾き上げる。
踊りが入る場合は、大抵は、初めにギターが入り、そのあと歌い手が導入の歌を歌
い、ここで踊り手登場。ここでは踊り手がリズムの速さ、曲の長さ、全ての
主導権を握る、指揮者の役をする。
フラメンコは、ジャズ同様、セッションである。
リズムに決まりがあり、止まりたいとき、速度を速めたいときは、その
法則の中で皆で遊ぶ。
曲の中には、歌い手がその喉をアピールする部分があり、踊り手はそれを聞きつつ
曲に入り込んで行く。
そして、曲の中間に踊り手のテクニックを披露する部分がある。
サパティアード(足音)も強く、軽快に、気付くとまわりは手拍子だけになり、
踊り手を盛り立てている。
そうかと思えば、ギターがその足音に合わせて鳴っていたり・・・。
踊り手が指揮者の役を務めるが、皆が自分の色をだして、一つの曲に仕上げて行く。
まるで一つの絵を仕上げて行くように。
それで、Cuadro Flamenco(クワドロ・フラメンコ。フラメンコの絵)と言うのだろう。
そして最後は一気に盛り上げる。
アレグリアの最後にはブレリアを付けて、テンポを上げたり、
ティエントなどの4拍子系でゆっくりしたものにもタンゴをくっけたりして
盛りあげるだけ盛りあげ、歌にギターに見送られ、踊り手はカッコ良く退場する。
または、最後のポーズを決めてくれる。
決まったら"!OLE!"
”フラメンコの楽しみ方”
先ずは、たくさん見て下さい、聞いて下さい。
できれば良い物を。
食べ物といっしょですね。最初にまずい物を食べさせられると、
そういうものかと思っちゃいますからね。
でも、何処で良い物が見れるっかっていうのも難しい問題です。
私も毎日、毎日そう思っているのですから。
同じ歌い手でも、良い時と悪い時の落差って凄い物ですから。
こればっかりは、幸運を祈りますとしか言い様がありません。
ここの日本蕎麦は美味しいよ、日本一だよっていわれたものの、自分の好みでな
かったという場合もありますしね。
でも、フラメンコを見たとき。ある瞬間でも歌い手の何かが、弾き手の何かが、
踊り手の何かが伝わって来た時、心が震えたり、哀しくなったり、嬉しくなった
り…。その瞬間を楽しみ、大事にして下さい。
そんな、フラメンコ・アフィシオナド(フラメンコ・ファン)が増えてくれることを祈って。
石川亜哉子(Sara)
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