SARA BARAS(サラ・バラス) IN GRANADA
こんにちは。今日もフラメンコの話題をば。
私の頭の中はフラメンコで一杯です。 逆に言うと、それを取ると空っぽになるのではないかと不安がよぎります。 今日は、フラメンコ界のアイドル、スーパースター、サラ・バラスの新作を見たのでご紹介します。
サラ・バラス
フラメンコは儲からん。 そりゃ上手く頭を使って儲けてる人もいるが、プロのアーティストは皆苦労している。 下手したら、技術やフラメンコ度だってサラより上回っているかもしれないプロ中のプロだって苦労している。 フラメンコは芸術だ、なんだ、といってもこの世界も芸能界なので、商業ベースに乗っけていかなければ面白いようにはお金は入ってこない。
だいたい、フラメンコは大劇場でマイクを使いはじめた時から純粋なものを表現するのはすでに難しいのだ。 前置きはともかく、今、21世紀のフラメンコ界で2年先までの予定が真っ黒というアーティストはとにかくサラと、ホアキン・コルテスだろう。 実力とカリスマ性を充分に備えたスーパーアイドルだ。 純粋フラメンコを求める方、洗練されたものを求める方、いろいろ好みはあるだろうが、いろいろ言う前にとりあえずこの人たちは見たほうがいいだろう。
サラはアンダルシアのカディスの出身で、フラメンコ好きの母の持つ舞踊学校でフラメンコの技術を磨いた普通のスペインの女の子です。 自分の舞踊団を持ったのは7年くらい前と記憶するが、その前にやるべきことはやっている。 小さい頃から地元で踊り、その踊りが例えば、ハビエル・バロンとかの目に留まり、そこでしっかり舞踊団の修行をしている。 10年以上前にはそのハビエル・バロンのグループの公演で日本に来て脇役を務めていたのを覚えている。
"ハビエル・バロンと仲間達"だった。 私的な感想を入れておくと、その時の彼女の踊りの方が今より好きだ。 でも、今の彼女には、5千人の観客のハートを一気に掴むテクニックがあるのだ。
ソールド・アウト
とにかくすごい人気、と言っておこう。 グラナダの一番大きい劇場3千人だか5千人入る劇場のチケットが1週間前にはソールド・アウトになった。これはこの小さな街ではけっこうすごい。
実は私も甘く見て、1週間前に行ったら、もう無かった。。。。。。。
当日までは仕方なし、と思っていた私も、当日になってやはり慌て、サラの舞踊団の中にマドリード時代に共演した人がいたので、我ながらセコイ、と思ったが電話帳から探して電話したら楽屋から入れてくれた。
「サラ 恐るべし」と思った。 マドリードに住んでいた時代にも彼女の作品が4ヶ月くらいのロングランになった時もそう呟いた。 どんな有名なアーティストでも、そう、あのホアキン・コルテスでもせいぜい2週間だか1ヶ月だったのに。 フラメンコで4ヶ月って化け物ですわ。
今の“スエニョス"は彼女の4作目で、確か間違いでなければ1作目も“スエニョス"。2作目は“フアナ・ラ・ロカ"で3作目が“マリアナ・ピネダ"です。 つまり、今の"スエニョス"は、1作目を深く掘り下げたものと理解してもいいだろう。
3作目の"マリアナ・ピネダ"はDVDでも発売されていて(ごめんなさい日本では?)これもとにかく置いておけば売れる、というのがフラメンコショップの人の談。
"スエニョス"
スエニョスとは、日本語で単純に“夢"。前作までの物語性のあるものとは違って、フラメンコのナンバーを淡々と踊りつなげてゆくというシンプルながら2時間弱のフラメンコへのトリップ、つまり夢、に招待されるというわけである。
先ずいい所から書いておこう。
とにかくサラ・バラスは綺麗だ。 私も好みではないが、踊り手として、女性として美しい。 彼女が下着やストッキングのモデルもこなすことを書けば理解していただけるだろう。 そして踊りのテクニック。 ほとんど男性に近いといってもいい、スピードと力のある足さばき。 2時間弱、たっぷり踊っても踊っても疲れを知らない。 切れのある回転。 美しい手の動きや体の動きを見せるところはきちんと見せておいてちゃんと観客を騙すことも知っている、5千人をいっぺんに泣かせ、笑わせるのにはほんとうに驚いた。
一番の見せ場はサラの踊るファルーカという曲だった。 これは、フラメンコのナンバーの中でもどちらかと言うと男性が踊るのにふさわしいナンバーで、その男性が踊ってみたところで難しい曲です。 静と動の世界の芸術というべきか、そういうものを理解していないとただ踊ったところでただの足の音の多い曲で終わってしまうだろう。 これを、サラは闘牛の世界にヒントを得てちゃんと自分のファルーカの世界を築き上げ、そこから一歩も出ることなく踊り語ってくれた。
最後にソレアという曲をマントンで踊ったのもなかなかよかった。 ファルーカほどではなかったがインパクトがあった。 マントンが高級だった。 笑。
私的に嫌いなところも書いておこう。
振り付けがアカデミックすぎる。 意外性にかける。
すごい、速い、強い、と書いたサラの足だか、反対に言うと、速い、強いだけでワンパターン、とも言える。 バタバタバタバタ、、、、、、という組み合わせの足が多いのだ。
女らしく綺麗に見せる、、という技術としてサラは知っているが、彼女自身は実はちょっと冷たいのではないかと思う。 踊りが冷たいのだ。 クールでかっこいい、とも言える。 でも、冷たい、と私は思う。 だから、ファルーカが彼女にあうのかも、とも思う。男性が冷たい、と言ってるのではない、男は強さも弱さも中にしまって生きている感じがする。 そんな感じがサラにあっているのではないかと思う。 足の速さや、曲に迫力を出すためなのだろうが、曲全体のスピードが早い。 踊りにとって効果は抜群だが、歌のファンとしては、歌をじっくり聴く感じができない。 なんだかあっという間に次の展開になっているのである。 これはギターに関しても同じ。 踊り中心に舞台を組み立てる今のフラメンコは皆、こんな感じになってしまう。 踊りと歌、ギターが同等の舞台は今やなかなか見ることはできない?
と、いろいろ悪批評も書いたが、これを含めても、やっぱり1度は見たほうがいい、サラ。 笑。 なのである。
1度は見たほうがいい人シリーズ。
ホアキン・コルテス。 ショーアップされた生粋のジプシーの踊り。 ことしの12月には日本公演があるはず!
そして、エバ・ジェルバブエナ。 彼女の公演も来年日本であるのでは?
マヌエラ・カラスコ。 ギターではパコ・デ・ルシア。
注意。 この名前は、ベテランだから、とか純粋だから、とかという基準で挙げているのではないです。 とにかくフラメンコ界の凄い奴ら、ということです。 純粋だとか、名人芸とかって別に挙げていけばいろいろです。 御了承の上。
では、皆さん、年末までのラストスパート、頑張りましょうね。 |