ちょっと前のわたしたち

【No.200】10月4日 Maki * 【No.201】10月11日 Sara
【No.202】10月19日 むく * 【No.203】10月26日 かおる

No.203
10月26日 かおる(マドリード)

 まずはじめに、日本で台風と地震で大きな被害が出ている様子がこちらのニュースでも報道されています。 被害のダメージは大きいようですが、心からのお見舞いと、復興と安全をお祈りします。

 スペインには、地震も台風もとりあえずは影響がないので、のんきなことをいってられるのかもしれないけれど、私の今一番の気がかりはキノコだ。

 かなり昔の話だが、マドリードの山をキノコ専門家と歩くハイキングのような企画があり、参加したことがあった。 2時間ぐらいの散策で、グループで見つけたキノコは100種類以上。 中には、猛毒のもの、おいしい食用キノコ、いろいろある。 見ているだけでも楽しい。 このときは下調べもなく出かけたので、とくに食用キノコを探すという目的でなく、植物採集と観察のような気分で出かけた。 そんな学校の課外授業的活動が大好きな私はそれでも大満足。

 その後、何年か経って友人に誘ってもらって、ある食用キノコに狙いを定めたキノコ狩りに連れて行ってもらった。 その狙いを定めたキノコ、こちらではニスカロと呼ばれる、日本のハツタケに似たようなキノコ。 秋の味覚として市場にも出回り、珍重されるが、私としてはすばらしくおいしいキノコだとは思えないもの。 でも目的を見つけて探し出す面白さは格別。
すっかり、秋にはキノコ狩りがなくっちゃ、落ち着かなくなってしまった。

 ところが、この秋は天候が不順で雨も降らず、気温が妙に高かったりしてキノコが安心して出てくるにはあまりよろしくない年らしい。

 件のハイキングをオーガナイズしたところに電話しても「今年は計画するか、決めあぐねているから、来週まで待って」という返答。
でも、私の感覚では「この」週末なのだ。 というのは、キノコを探しにいけるチャンスに見合う週末は少ない。 雨が降る中、我慢大会のようにキノコを探すのは遊びの楽しさに欠ける。

 しかもこの週末は天気予報も「お出かけ日和の晴天」を約束していた。 来週の週末が晴天である保証は無い。 仕方が無いので、自分で探しに行こうかな、と思ってもどこをほっつき歩けばキノコにあたるのか、よくわからないので、出足が鈍る。

 しかも、日本でもそうかもしれないが、スペインでも個人が採集したキノコを食べて中毒に遭う被害は毎年のように発生している。 自分で集めたキノコも怖くて食べられないのじゃ、面白くない。

 試しに自分で分類の本を購入して、近所の公園で雨後のタケノコのように出てきているキノコを試しにこっそり採ってみる。
本で分類を確認したら、食用キノコらしいものがあった。 どーだ、とばかり近所のキノコ博士に聞きに行く。 ところが、こちらのウキウキ気分もむなしく「うーん、これは確かにふにゃららにそっくりだが、似ていて毒をもっている同じ種類に属するふにゃらら・ららがあるからね。食べちゃぁ、いけないよ。」
と本で少し覚えた学名の属名くらいじゃ太刀打ちできない、より詳しい種の名前まで出されて説明され、あえなく撃沈。

 いずれにしても、近所の公園で取ってきたものだし、食べるつもりは無かったけれど、ちょっと自信喪失。 これでも、昔は植物観察とか得意だったのだけれど。 まだまだ私のキノコ道は初心者段階。 今年は果たして満足のいくキノコ狩りができるのだろうか。 それが次の休日のために一番心配していることなのだ。

 

No.202
10月19日 むく(マドリード)

 先週、ドイツのニューレンベルグでの展示会に行ってきた。 ヨーロッパ最大の冷凍空調展示会であるIKKに弊社のベルギー事務所が出展し、その案内係の一員としての参加であった。

 日系企業も数社出展していたが、中国からの参加企業の増加、及び中国人の見学客の増加がひときわ目立った展示会であった。 明らかに中国系の企業であると判る名前の出展者の他に"Sakura"とか"Kaori"、更には"Hokkaido"という名前を見かけた。 一見日本の企業のようであるが、中国系の人たちが案内に立っており、また所在地は中国であり明らかに中国の企業だということが判る。

 まじめな内容の企業もあるのであろうが、業界で世界的に有名な会社の製品やロゴに極似したものが展示されているのを見かけた。 中国お得意の違法コピー、知的所有権の侵害の典型的な例であろう。 "Sakura"とか"Kaori"とかの名前をつけている会社は、日本の会社かと誤解させて商売に結び付けようとしている、つまり違法コピーや知的所有権の侵害と同一の発想から来ているのだろうと推察される。

 市場に出回りある程度知名度がある製品の模倣部品、いわゆるボーガスパーツのメーカーは何社かあるのだが、そういった会社が堂々と展示会に出展しているという事実にも驚かされる。 今回の展示会にはそういった会社の人間が堂々と弊社のスタンドにも売り込みに来ていた。 そして、ひときわ驚かされたのが、業界で有名な会社の製品そのものを模倣したものが展示されていたことである。 この機械はA社の製品のコピー、あちらに展示されているものはB社の製品のコピー、と一目瞭然のものが「サービス用」とうたわれているのである。

 この世の中にはまっとうに商売している企業だけではなく、自分達さえ良ければ知的所有権や著作権などに関係なく違法行為に携わる組織があるという典型的な例である。

 そういえば日本でも消費者を省みない自己中心主義の某自動車製造会社の例や、借りた金を返さずに再建を図ろうとする数多くの会社の例が見られるが、こういった企業には速やかに市場から消えていってほしいものである。

 

No.201
10月11日 Sara(グラナダ)

新しい家族(犬)
 一度でも動物を飼ったことのある方ならおわかりだと思うこの心境。
「ああ、もう生き物はたくさん!」そう、情とか愛情ってものが強くなって、その動物がいなくなってしまったり、死んでしまったりすると心にぽっかり穴があいてしまうのです。 犬や猫のようにポピュラーで人間に近い存在のものならなおさらの事だろうけれど、私は蚕やカタツムリの時も心を痛めた。 8年間共同生活した2匹の猫達、マノロさんとルミさんを失ってからちょうど1年経った。

 人間とはとてつもない新しいことを発明する脳を持っている反面、過去を忘れられる性質を持ち、同じ事を繰り返してしまう性質も持っている。 また動物達が懐かしく思えてきた。ペットショップを覗いたりもしてみた。

 でも、まあ、買ってまで苦労(楽しいけれど)することもないわねとはやる心を抑えていた。 出会いっていうのもあるのだろう、動物保護センターにいたかわいい猫をもらおうとした時は、病気を持っているので差し上げられません、と断られた。

El CANASTERO(カナステロ との出会い)
  約1ヶ月前にグラナダの散歩道でヒッピーちゃんが生まれたばかりの犬の赤ちゃんを6匹箱に入れて道行く人にお金をねだっていた。 予防注射と赤ちゃんたちのミルクの為に!だって。 小犬には誰だって足が止まるのをヒッピーちゃんはよく知っているのだ。 犬を利用してお金を貰い自分の食いぶちかドラッグでも買ってしまうに決まってる。

 6匹の中で、垂れ耳で体の色はベースが白で、背中にカフェ・オレ色のまあるい水玉のブチがあるのがカナステロだった。 (かわいい)と心でつぶやく声を聞いたヒッピーちゃんは15ユーロで売る、と言った。 私は旦那のヘススと相談したが決心はつかなかった。 彼の仕事が代わり際だったし犬は猫より物理的に飼うのが大変なのだ。 猫はひとりで1週間留守番してくれたが犬はだめだ。

 それから1ヶ月同じ道を歩いてもあのヒッピーちゃんと犬達と会う日はなかった。

Di'a de la patrona de Granada
  次のカナステロとの出会いは、グラナダのパトロナ、Virgen de las Angustiasの日だった。 9月15日にお花を捧げる日がありグラナダ市民は花を持って教会に列をつくる。 そして9月最後の日曜日にProcecio'n(行列)が出る。

 その9月最後の日曜日、午後6時半にVirgenが教会から出るというのでごった返す中心地に友達と出かけていった。 人込みをかき分けかき分け、もうこれ以上教会に近づけないところで立ち止まると何故かいつかのヒッピーちゃんが私の目にとまる。 ちょっとこころがざわめいた。 嫌な予感と嬉しい予感が混ざったようなものだ。

 ヒッピーちゃんのバックには1匹だけ犬が顔を覗かせていた。 そろそろと近づき犬の頭に触った。ヒッピーちゃんは最後のバーゲンセールのノリだった。 10ユーロでいいから持っていってくれというのだ。

私は値段はどうでもいいのだ。売れ残りの犬の体を持ち上げると・・・・・・
!!!!!なんと、体に茶色のブチ!!!うーーん。

私はヒッピーちゃんに20分ここで待てるかと聞いたら待てると言う。
旦那の勤めるBarまで往復20分。 やはりヘススの意見というか許可を得るべきだろう。 Procecio'nが始まってしまったらヒッピーちゃんともはぐれるだろう。
  急いでヘススの許可をもらってきたが既に30分が経過。 もとの場所に近いところに今度は女のヒッピーちゃんがいたが、彼はいなかった。 ヒッピーちゃんと待ちあわせしても無駄だったかと一瞬思ううち、その女のヒッピーちゃんが近寄ってきて、犬の里親になりたいのはあんたか、犬はとってある、といった。

 ヘススとあやことプラス 1(カナステロ)という訳で、かれこれ2週間、3人の生活が始まった。
  家に来てから2日目に獣医に健康診断に連れていった時はドキドキした。 なんせ、生まれたての抵抗力もない赤ん坊をヒッピーちゃんは連れまわしていたのだろうし、どんな病気を持っていてもおかしくない。 実際、小さい体に似合わないすごく大きい蚤が飛び回ってるし、でかいぎょう虫がにゅるにゅる出てくる。 すごい病気だったらあきらめざるを得ないのだ。 結果は良好。獣医から帰ってから名前をつけた。

 “CANASTERO”辞書をひいたらどんな意味が一番上にくるのか調べてからこれを書こうと思ったがうっかり忘れてしまいました。 我が家での意味は“純粋なジプシー”です。ロマ族、川で生活していたころのジプシー。

 最初の2日はおとなしかったけど、きかんぼうなので嬉しい苦労始まってます。
私はヘススとの生活も始まったばかりで、こういう生き物を飼っての共同生活は彼との生活の勉強にもなると思っています。 どのくらい協力してくれるのか楽しみです。
という訳で旅行はしにくくなりそうですが、どこかの家族みたいにカラバナでも買ってキャンプ旅行でもするかって話しています。
グラナダはもうあと1ヶ月もするとシエラ・ネバダが雪化粧します。
冬は広大なスキー場に是非、皆さん訪れてくださいまし。
カナステロも冬の訓練に連れて行きます。 犬は基本的に雪が大好き。
見たこともないくせに大好きです。 不思議ですね。歌はよく言ったものだ。

   (歌う)♪犬は喜び庭かけまわり、猫はこたつで丸くなる♪(歌う)



No.200
10月4日 Maki(横浜)

 子供の頃、幸運の四つ葉のクローバーを探したことある人、
 けっこういるんじゃないかな?

 最近、とあるスペイン人の著書が日本でベストセラーになっている。
 それは"Good Luck"という本。 原題は"La Buena Suerte"」で、著者はバルセロナ出身の経営者アレックス・ロビラ・セルマ('Alex Rovira Celma)とフェルナンド・トリアス・ベス(Fernando Tri'as Bes)。 すでに何十カ国かで翻訳・出版されているようで、題名から考えても日本語版はたぶん英語から訳されたのだと思う。 大ベストセラーらしいし、原書がスペイン語というのに惹かれて購入してみた。

 四つ葉のクローバーが描かれた綺麗な緑色の表紙。
 ページ数が少ないこともあるけど、なんとなく、不思議と物語に引き込まれて、通勤の電車内で一気に読みきった。

 哲学書のような、ファンタジーのような、実務書のような不思議な本だ。
 テーマは「運」と「幸運」の違いについてと、幸運を手に入れるための生き方、考え方について。 何十年ぶりかで再会した幼なじみの老人2人。
 その1人が語った、魔法のクローバーを探す2人の騎士の物語から構成されている。
当たり前のことが書かれているんだけど、なんだか目から鱗が落ちたというか、不安や不満に埋もれて「なんかいいことないかな〜」とつぶやく毎日の過ごし方を、改めて考え直す機会を与えてくれた。

 WEBの書店サイトに載っている読者の書評では、けっこう評価が分かれている。
 人生のバイブルだとか、手元に置いて何度も読み返したいとか、子供に読ませたいとかいう人もいる一方で、こんなの理想論だとか、現実的でないとか、所詮は成功者の言うことだとか、似たような本は色々ある、なんて意見もある。
 人それぞれだと思うけど、少なくとも、私はすごく気に入った。
 スペイン語の原書も手に入れて読みたいと思っている。

 運は偶然に巡ってくるものでも、幸運は誰でも手に入れられるもの。
 自分のできることを日々努力していれば、幸運の種がそこに芽吹く。

 挫折しそうだとか、なかなかうまくいかないとか、自分の生き方に自信が持てないとき、不安なときに一歩踏み出す勇気を与えてくれる本だと思う。
 「なんかいいことないかな〜」とつぶやいてしまうことが多い人は、ぜひ読んでみ
て。

 もちろん、そこから何を感じるかは、その人次第だけど。


 

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