ちょっと前のわたしたち

【No.172】3月1日 むく * 【No.173】3月8日 Maki * 【No.174】3月15日 Sara
【No.175】3月22日 かおる* 【No.176】3月30日 Taka

No.176
3月30日 Taka(東京)

 先日、スペインに住んでいるスペイン人の友人に日本語の本を送ってあげた。もう、随分前から、その話はしていたがなかなか郵便局に出向く時間がなかった。ちなみに郵便局までは歩いて30秒のところに住んでいる。

 日本語を勉強しているその友人に、せっかくの贈り物だから日本語で綴った手紙でも添えようと思っていた。しかし、それもできぬまま、郵便局へと走った。郵便局の斜向かいにはコンビニがある。そうだ! おやつに苺のチョコレートでも添えてあげよう。

 そう思って、コンビニに駆け込み、お気に入りの苺のチョコレートを買った。郵便局に着いて閉じていた封を再び開け、それを入れ込んだ。

 春になると日本では、苺の新スナックがたくさん店頭に並ぶ。私の部屋にはたいていいつも、一つ二つはストックがある。これが太る原因なのか……。とにかく苺のチョコレートが好きなのだ。

 本は8日間でスペインへと到着した。友人は日本語の本に喜びの声をあげた。そして、とても興味深いことを言った。

 「苺のチョコレートありがとう。

 こんなに美味しいチョコレートは初めてだ。

 だって、スペインには苺のチョコレートなんて売ってない。

 僕は初めて見たよ。

 そして今日からこれは僕の一番のお気に入りだ!」

 私は知らなかった。スペインには苺のチョコレートがない?本当にない?キューバなら、ないことだって考えられる。でも、スペインにそれがないだなんて……。ちょっと驚いた。もしかしたら、彼がそう言っているだけで、本当はどこのスーパーでも売られているものかもしれない。わからない。誰か知っていたら教えて欲しい。

No.175
3月22日 かおる(マドリード)

 あのテロからずいぶん日が経ったように思えるけれど、まだわずか10日しか経っていない。ずいぶん目まぐるしい1週間だった。

 テロとその直後の総選挙。この総選挙結果は日本でも報道されている通り。テロ前には優勢であった右派の与党がテロ犯人報道の情報操作をしている、と国民の不信感を買い、政権交代劇が起こった。
 参政権もない一外国人としては蚊帳の外からの意見でしかないのだけれど、なんとなくこの結果に満足。それは、一番基本的な民主主義の実現をダイレクトに見たような気がしたから。

 国民が政府のウソを見破り、政府に対してNO!をアピールした。投票日の前日に。そのアピールが民主主義社会において国民が持つ一番の武器、1票の力となって、本当に力となって政権を覆したのだ。
 こんなにダイレクトに国民の声が反映された選挙には今まで遭遇したことはなかった。開票の数字を追う我が目を疑うほどだった。

 こうやってみると、スペイン、なかなかやってくれるじゃないか、と思えてくる。テロの後、あのレアル・マドリードの主将のラウルが記者会見で涙ぐんでいた。別に親族とか、友人が直接に被害を受けたのでもないだろう。でも、人間として、素直に痛みを分かち合って、涙ぐむ、そんな姿はかっこ悪くもなんともないのだ。当たり前なんだ。そんな健全な人間性が生きているんだな、と今回のテロや選挙、といった騒動のなか、ぼんやり考えた。そうして、そんな人間のつくる力は人を集め、大きな力になる。良くも悪くも、このスペインの政権交代劇、そして新政権の政策が今の世界情勢に与える影響は小さくはないはずだ。

 健全な国民の精神が集まる民主主義国家は健全であると信じたい。そして、健全な精神は表現方法や民族や思想の壁を越えて、理解しあえるものだ、とも。

 テロだけじゃない、民族抗争もまだまだ起こっている。怒りが怒りを呼び起こすような、力で力を押さえ込むようなそんなせめぎ合いよりも、理解しあうことの感動や気持ちを一つにすることの喜び、そんな歩み寄りの世界ができてほしい、ほんとうに、そんなことを、ちょっとは、まじめに考えてるこのごろ。

 ほら、旅人さんのコートを脱がせたのは、旅人の気持ちを和らげた太陽だったのだものね。ほかでもない太陽の国、スペインがこのささくれ立った世界情勢に少しでも人間的な暖かさを呼び戻してくれる、そんなきっかけになることを祈って。


No.174
3月15日 Sara(グラナダ)

“11−M”
日本の皆様、スペインの皆様こんにちは。
嫌な週にこの連載の当番に当ってしまった。
最近何がありましたかって???
“マドリードでテロ事件がありました”…しーん。
主犯はアルカイダかETAかという重要な問題が残っていますが、
とにかく世界中はパニック、不安に陥っているようですね。
もちろん、それは“怒り”という形で皆の気持ちが一つになり、
各地で相当の人数のデモが行なわれています。
マドリードでのは特に凄かった。
私もちょっと前までマドリードの中心地に住んでいたので、日本から
“無事ですか?”というメールや電話を頂いたりした。大抵の人の
口から“もう明日のこともどうなるかわかりませんね”という
言葉が漏れた。日本も標的のリストにのっているのだものね…。

“グラナダ温泉”
家にいても悲惨な映像の繰り返しなので友人達と温泉に
行くことにした。グラナダの市内から10キロくらいの村、
サンタ・フェ村の外れに野沸き温泉がある。10年くらい前は
知る人ぞ知る、だったので、あまり人にかち合う事も無く、
人里離れたオリーブ畑の真中に突然ある温泉なので、必ず1人、
2人は男性がいないとバンドレーロ(盗賊)に襲われちゃう、と
いう感じだった。そのうち噂が噂を呼んで、だんだん沢山の
人が訪れてくるようになってきた。そのうち、誰かに買われて
しまうのだろうな。と友人とも話していたけれど、10年たっても
まだ野沸き温泉はそのままだった。

ただし、噂はヒッピーちゃん達にも届いたらしく、お風呂に入れる
良い生活場所として大きなワゴンを所有する世界のヒッピーちゃん御家族が
3〜4グループいつも、入れ替わり立ち代り無料キャンプ場として利用
している。まあ、前みたいに“ひっそり”とか、“秘密の”とか
そういう雰囲気は無くなったけれど、温泉は健在、やっぱり気持ち良い
のである。温度や広さも良い感じで1時間つかりっぱなしでゆったりできる。
お湯の中でもこりゃ…。“M-11”の話題からは離れられない。
政府への不信感がますます高まった。
戦争参加だってさんざん反対したのに、その結果、一般市民が犠牲に
なった。政治上いろいろあるだろうけど、先ず市民の命を守れなくて
どうする。そんな話をしながら、最後は温泉の歌を歌って湯を上がった。
正式な歌の題名は実はわからない。
(歌う)ババンバ バン バン バン  は〜 ビバ ノンノン(歌う)

“魚天国”
風呂の後のコースは2つある。第1のコースは昼温泉の場合はサンタ・フェ村中心の
有名な甘味所Ray Fernando(レイ・フェルナンド)の有名菓子ピオノノを食べるコース。
第2のコースは村を移動してアレンディンという村の中心にあるバル・サンティの
魚天国コース。最近は、魚天国コースばかり遂行されている。
ここは、小生ビール1ユーロについてくるタパ(おまけのおつまみ)が凄いのだ。
小皿にペスカイートフリート、つまり魚のから揚げが山盛りでてくる。
小生ビールを3杯も飲むと、暴飲暴食大好きな私もいつも降参する。
つまり、3ユーロで満腹!!!という訳。
ここもグラナダから10キロくらいの村だが、魚のタパで有名でいつも
賑やかだ。5年くらい前、その客の中に女性のフラメンコの踊り手で
スペインで、ということは世界で3本の指にはいるだろうという
あのジェルバブエナが家族でテーブルを囲んでやはり魚のタパを山盛り
食べていた時は感激したものだった。
良い踊り手になるには、やはりここの魚を食わんとね。しめしめ
と喜んだ私だ。師匠とは同じ飯を食え、みたいな教えがありませんでした?
グラナダはタパが良くて有名でした。ユーロの波に押されて厳しくなってる
のは否めませんが、まだまだ健在ですよ。

という訳で、心気臭い世の中ですが、辛いもので日常は変えられない
ものです。それぞれの仕事、毎日の生活の繰り返しです。
息がつまらないように、頭の中の空気を工夫して入れかえるように
していきたいと思います。

ヘレスのフラメンコフェスティバルで日本人の舞踊家が大活躍という連絡を今日
もらってもやっぱりほっとしたり、嬉しかったり。
“キル・ビル”という今、公開中の映画もなんかおかしい映画で
気分転換になるという電話もあったので来週は行ってみようか。
追悼の意を込めて。

Sara Ayako Ishikawa

No.173
3月8日 Maki(横浜)

 最近、母と一緒に、近所で定期的に行われている大手ガス会社主催の料理教室に何回か参加した。といっても、特に料理修業をしなくちゃいけない理由があるわけじゃない。前回参加したときも周りは主婦ばかりで、同じテーブルのおばさんと「お嫁さんと姑さん?」「いえ実の母娘です」なんてやり取りがあったし(姑と仲良く料理教室行くか、普通?)、まあ傍からみたら平日に料理教室なんて来ていれば花嫁修業かと思われるのかもね。残念ながら、単に暇があって、興味があって、あとは安くて近かったからなんだけど。(涙)でも好きなテーマの時だけ申し込めるのでとても手軽だし、実際に役立つし、なかなか面白い。

 そんな料理教室の次の予定は3月10日(水)で、なんとスペイン料理。なんでも、かの有名なスペイン家庭料理研究家、おおつきちひろさんがこの教室のために考案したメニューなんだそうだ。もともとは地域新聞の広告でこれを見つけたことが参加のきっかけだったのだ。もちろんおおつきさんが実際に教えてくれるわけじゃないけど、美味しいことは間違いないだろうし自分で作れるならこんな嬉しいことはない。
 前菜からデザートまで4品のコースで、最初はスペイン産オリーブオイルのお土産も付くと聞いていたのだけど、「協賛会社の都合によりお土産はなくなりました」との連絡が。(むむー、残念)でも教室代は2600円、これならレストランで食べるよりお得?というわけで、あと数日、わくわくしながら待っている。

 そういえば、スペイン滞在中にはホストファミリーのママにも色々料理を教わった。一緒に市場に買い物に行って食材の名前を聞いたり、逆に日本語での名前を教えてあげたり、学校のことやら家族のことやらパパの悪口やら(!)いろんなことをおしゃべりしながら、時にはスペイン語の発音を厳しくチェックされたりしながら、台所に立つ時間はとっても楽しかった。
 そのとき教わった料理はいかにもスペイン料理という感じのものではなく、食べてみて「これは是非覚えたい、日本でも作りたい!」と思ったものが殆どで、ママのオリジナルだったりもするので、頼りになるのは自分の手書きレシピのみ。でも、そのときは作るのを手伝いながらつたないスペイン語でメモを取ることで精一杯で、レシピは書いた自分自身でも意味不明な暗号文。料理用語も食材の名前も、意味のわからないものは日本語にも訳せず、とりあえず聞こえたとおりのスペイン語を書き留めていたので、あらためて辞書をひこうと思うと綴りが違っていて探しまくったり・・・。そんなこんなで、翻訳、もとい、“解読”に非常に時間がかかって、結局いまだに全部は訳せていない。当然、もう一度作ってみる暇もないままレシピは大事に保存中・・・。
 スペインでは料理の本も色々買ってきたけど、帰国してから作ってみたのはいくつかだけ。何しろ私のスペイン語能力&料理の腕じゃ、スペイン語レシピをすらすら見てささっと作る、なんて芸当はできないのだ。だって料理で一番大事なのは下準備と手際。辞書ひきながら料理なんてできない、でしょ?

 そんな理屈をこねてる暇があるなら早く作ってみなさい、とママに言われそうだよね。料理教室でも市販の本でも、活用できるものは活用して、得意料理はスペイン料理です!って胸張って言えるくらいになりたいものだ。だって、せっかく縁があってスペインに出会ったんだものね。@Spainサイトにもレシピが載ってることだし。(これはすでにいくつか作ってみたけど、分かり易くて美味しい!)早速、明日の夕飯はスペイン料理作るよってことで母に断っておいた。何しろ実家暮らしの身、勝手にはメニューを決められないのだな。さあ、明日は何を作ろう?

No.172
3月1日 むく(マドリード)

 昨年8月末にマドリード郊外に引越しをした。小さすぎる部屋の拡張や気に入らない内装の変更などやるべきことが多すぎて人を呼べる状況ではなかった。出張も相次ぎ、また週末には雨が降るということが多く、庭いじりは遅々として進んでいない。

 が、何とか人を呼べる状態になってきたのでソフトボールのアミーゴスの人達とご近所さんを招いてバーベキューパーティを開いた。朝、目が覚めると外は曇り空。雨が降らないかと心配したが、それも杞憂に終わり開始時間には晴れ間が広がった。参加予定者の何人かの都合が悪くなり直前にキャンセルが出たが、総勢20数人も集まり盛況であった。

 外で焼くのは日本人、ご近所のスペイン人は部屋の中で食事とお酒。サロンの一部に畳を敷いているのだが、畳の上にいるのはスペイン人ばかり。日本人はテーブルについていたり、庭で肉を焼いていたりという、ちょっと変わった取り合わせであった。

 このたびの転居では本当にご近所さんに恵まれたと感じている。引越し当初から色々と声をかけてくれ、たびたび食事にも誘ってくれる。また、何か起きたときには快く助言をくれたり手伝いに来てくれる。まさに頼れるご近所さんなのである。

 我が家はEl Restonという区域に属しており、近くにEl Reston 2が整備中であり、Piso群やチャレー群の建設が続いている。新しい道路も整備されつつあり、数年後にはすっかり様変わりしていることだろう。そうなってもこの心地良さが続いてくれることを祈っている。

 

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