ちょっと前のわたしたち

【No.92】7月1日 かおる * 【No.93】7月8日 Maki * 【No.94】7月15日 Meche
【No.95】7月22日 Norie * 【No.96】7月30日 ナオミ

No.96
7月30日 ナオミ(日本)

  もうすぐ1ヶ月半の長い夏休みに突入する。その前に、この夏に退職する2人の同僚の送別会があった。1人は出産のため、もう1人は任期満了で仕事を辞める。今のわたしの仕事は、仕事といってもアルバイトの類なのだけれど、5年契約になっていて、契約更新はない。わたしは働きはじめてもうすぐ2年半、折り返し地点に差し掛かるところ。軽い気持ちではじめたアルバイトなので、正直なところ、ここまで続くとは思ってもいなかった。
 アルバイトなのに、片道2時間、往復4時間を通勤に費やしている。この時間をもったいないと感じたり、仕事の内容に不満を感じたり、いろいろと考えることもあって、何度も辞めようと思ったけれど、きっかけがないまま現在にいたっている。気付けばすでに古株の域。

 このアルバイトをはじめたのとほとんど時期を同じくして、@Spainに関わるようになった。@Spainは当時、スペインネットワークの名前でメーリングリストの運営を行っていた。Webサイトはあったものの、更新はあまりされていなかった。それをリニューアルして、Webサイトに力を入れて情報発信をしていこうという話があり、それに参加させてもらうことになったのが2年4ヶ月前のこと。スペインネットワークからSPAINetと名前を変え、そして、@Spainへ。発足当時のメールを読んでいると、試行錯誤の様子がうかがえて懐かしい。スタッフはみんな本業を抱えているので、@Spainへの関わり方もさまざまで、各々の自発的な協力によって支えられている。最初は@Spainのために何ができるのか、よくわからなかったけれど、徐々に、やるべきことがわかり、やりたいことも増えてきた。
 しかし、仕事があるときは時間を思うようにとれず、やりたいことがあってもなかなかできない。夏休みになったら自由になる時間も増えるので、できなかったことをやってみようと思う。子供時代の「夏休みの宿題」みたいに自分自身に宿題を課してみることにした。
 でも、子供のころ、夏休みといえば、最後の最後になって、焦って宿題を片付けるタイプだったし、休みが終わるころになって、「なにもしないうちに夏休みが終わっちゃったよー」ということになる可能性も・・・。いや、気を引き締めて、いまだかつてないほど充実した夏休みを過ごせるように努力しよう。
 ・・・なぁんて書いて、後でこの文章読んだら笑っちゃうかも。だいたい、子供時代だって思っていたのだよね。「今年こそは」って。

 

No.95
7月22日 Norie(バリャドリード)

  ウチには現在2台の車がある。1台は普通車で、もう1台は屋根のある軽トラとでも表現すれば良いのか、バンタイプの車。

 普通車の方は、わたしと結婚する前に夫が自分の好みで決めたのだけど、購入時点で走行距離が15万キロだったので「すごい車買うなーーー」とビックリしたのをよく覚えている。

 その車も現在の走行距離は24万キロ。

 バンタイプの車は、仕事でどうしても必要になったので、3年前にこれも中古で購入。その時点で、オドメーターは6万キロを指していて、コレ、16万キロだよねぇと笑うわたしに「イヤ、2回転してるんじゃない?」と言い放った友人もいたくらいボロかった。スペイン唯一の車メーカー、SEAT製。

 オイル漏れはひどいし、冬にはエンジンがかからなくなって、レッカー車を頼んだこともある。前を走るトラックの跳ね石があたってフロントガラスが大破。困った夫が路肩に車を停めていると、パトカーが通りかかって「わぁ助かった!」と思ったのもつかの間、「邪魔だから、どけなさい」と無情に言われた思い出もある。

 が、修理工場の人とも仲良くなって、意外なほど安い値段で修理してくれることもあって、「シロ号」と愛称までつけて乗り続けている。

 それでもやっぱり限界だろうから、今回の車検が通らなかったら引退させよう、と話し合っていた。問題は、前回はギリギリのところで車検を通ったオイル漏れと排気ガス。スーパーで、オイル粘度を高める薬と排気ガスを抑制する薬をダメモトで購入。祈るような気持ちで車検を受けたら、なーんと一発合格!

 このタイプの車は中古でも値段が下がらないし、それなら新車をとも思うけど、零細自営業なのでローンを組むのも二の足を踏むところ。だから、半年分の車検に二人で手を取り合って喜んだ。

 と、そんな風に無邪気に喜んでいたら、同じく今月末に車検を迎える普通車が「ブレーキパッドが減ってます」の警告ランプ点灯。トランクも開きにくいし、燃料漏れも見つかった。実はタイヤも交換時期。

 下手すると、中古のシロ号が買えるくらい修理費がかかるのかも。(涙)

 

No.94
7月15日 Meche(京都)

 仕事の都合でなかなかスペインへ戻れない私。そんな私をスペインと繋いでくれている物の1つに、音楽がある。

 大阪にあるそのCDショップは、ラテン音楽を専門に扱っている。小さな店内にはギッシリとCDが積まれていて、それはまるで宝箱。お店に行くと、私はいつもウットリしてしまう。

 つい先日、久しぶりのお宝捜しに出かけた。う〜ん、欲しいアルバムが見つからない。どこに埋もれているんだろう?努力するのが苦手な私は、自分で探すのをさっさとあきらめて、お店のおじさんに聞いてみる。「Nek(イタリアのアーティスト・スペイン語版もリリースしている)のニューアルバムありますか?」するとこんな答えが返ってきた。「ポップスの入荷は今止めてます。」そういえば、買いたい他のアルバムも見当たらない。

 あ〜信じられない。今までは、ここに来ればたいてい欲しいアルバムは見つかったのに・・・。能天気な私もブルーになってしまった。おじさんの話だと、ポップスなどはあんまり売れないんだそうだ。つまり、今の日本のラテンブームはダンスであって、売れるのはサルサやメレンゲなどのダンス系。ポップスやバラードなんかは、ホントの意味でスペイン語の音楽が好きな人にしか人気がないらしい。「売れなければ商売にならない。」解るよ、おじさん!あなたの言うことは正しい!!!よく見れば、以前にも増して小さな店内はダンス系音楽で埋め尽くされている。経営者はそうでなくっちゃいけない!でも・・・でもね、おじさん、私はやっぱりサルサやメレンゲだけでは生きていけないよ。

 仕方ないのと意地とで、在庫の中から無理やり欲しかった(であろう)アルバムを見つけて買った。お金を払うとき、落ち込む私におじさんが言った。「でもまたそのうち入荷すると思うよ。流行はすぐ終わるから。」あっ、そうか。ここは流行好きの国でした。おじさん!あなたの言うことは(きっと)正しい!!!

 

No.93
7月8日 Maki(横浜)

 人生ってのは、急にとんでもない方向へと動き出すものだ。最近、私の人生をまさに根本から変えてしまう程の大事件が起こった。来年2月に、股関節の手術をすることになったのだ。

 股関節がちょっと変だってことは数年前から気付いてたんだけど、ここ数年間、下半身全体が妙に疲れやすく、股関節そのものに痛みを感じることが増えた。スペイン滞在中も長時間歩いた後は痛くなることがよくあった。最近はかなりそれが頻繁になり、さすがにヤバイかも・・・とゴールデンウイークに病院できちんと検査したら、なんと「先天性臼蓋(きゅうがい)形成不全による変形性股関節症」なんていかにもヤバそうな病気を告げられた。

 臼蓋は股関節をつくっている骨盤の屋根で、変形性股関節症とは文字通り股関節の骨が変形して歩行障害になる進行性の病気。臼蓋の覆いが足りないために負荷が集中して、関節軟骨が段々とすり減って痛む。放っておくと骨が破壊されて歩けなくなってしまう。三十路も近いというのに今さら先天性の、それもこんなに大変な病気が発覚するなんて、まさか夢にも思わなかった。

 ドクターいわく、私の股関節は「今後確実に悪化するカタチ」でできるだけ早く手術した方がいいらしい。症状が軽くて若い方が回復も早く、自分の股関節で一生持たせられる確率が高いから。この手術、これがまた名前からしてスゴイ。「臼蓋回転骨切り術」。要するに足りない臼蓋の屋根を作るんだけど、臼蓋と大腿骨を軟骨ごと切り取って、外側に回してボルトで止める!!大工仕事?!術後20日間は寝たきりで、その後車椅子、松葉杖、片手杖となり退院は約2ヶ月後。杖なしで歩けるまでは半年はかかる。一番困るのは、片足ずつしか手術できないこと。両足とも悪い私は2回手術しなくちゃならない。片方で半年、回復したら反対足で半年。だから1年以上仕事もできず、入退院とリハビリの繰り返しになる。

 最初知った時はやはりショックで、よろけながら病院を後にした。今後の人生設計のやり直しを思い、何日も涙が止まらなかった。手術そのものへの恐怖。大きな傷跡もできる。それも両足。今、働きながら通っている学校も、規定の実習ができずに休学。治ったら治ったで、お金も仕事もない状態からの再スタート。ちゃんと歩けるようになるんだろうか。仕事できるんだろうか。運動や旅行はいつできるんだろうか・・・。逃れられない恐怖と不安で、胸が締め付けられる。鈍い痛みは日に日に増し、歩ける距離は日に日に減っていく。そして時折、突き刺すような強い痛みが股関節を襲う。

 この不安と痛みを抱えておそるおそる生きていくのは嫌だった。だから手術を決めた。前向きに生きていくために。幸い、いい病院も見つかり、信頼できるドクターにも出会えた。同じ病気と闘っている多くの人のネットワークにも救われた。みな、手術とつらいリハビリを乗り越えて、前向きに生きている。スポーツも、海外旅行も、立ち仕事も、出産だってしてる。大丈夫。私だって乗り越えられる。きちんと治して再スタートしよう。この文を読んでくれる人の中にも、同じ病気と闘っている人がいるかもしれない。みなさん頑張って下さい。私も頑張るから。

 手術前にスペイン行きたいけど、入院費のこともあるし、完治するまではちょっと無理そう。手術してリハビリ頑張って、早く行かなくちゃ。待っててね愛しのエスパーニャ!
 それにしても、スペイン語で「股関節」ってどういうんだろう?スペインの友人たちにも説明したいんだけど、どうも「股関節」ってぴったりの単語がなくて、回りくどい表現しかできないのでとっても苦労している。(誰か知ってたら教えて〜!)でも新しいスペイン語の語彙はずいぶん増えた。骨盤、大腿骨、軟骨、骨切り術、臼蓋、先天性、脱臼、松葉杖、車椅子・・・うーん、普段使わなそうなものばっかりだねぇ。

 

No.92
7月1日 かおる(マドリード)

 ワールド・カップの喧騒もスペインの敗戦とともに火を消したように静まり、普通の日々が戻ってきた。が、もう7月。バケーションのシーズンに突入した。普段、駐車のためのスペースを探しまわる路上にも比較的簡単にスペースが見つかるようになってきた。

 このうだるような暑さのなか、目に涼しい深緑の葉を見せてくれる植物がある。やはりスペインのマドリードの暑さに花は長持ちしなかったが、2週間ほど前までは、清楚な小さな白い花を涼しげに咲かせていた。それは、学名、Houttuynia Cordata。「どくだみ」といわれる植物。十薬とも呼ばれる。(私の実家方面ではこう呼ばれる方が多かった)実はスペインには、存在しない…ということは、私がどうも密輸入してしまったらしいのだ。

 去年の春、仕事で日本へ帰った際に寄った実家で、庭に種が落ちたらしく生えてきた、という山椒の木の苗を母が持たせてくれた。鉢では持ちかえれないだろうから、スーツケースに入れられるように、すこーしだけの土をつけて。
 しばらくしてその同じ鉢からでてきたのが、この「どくだみ」。最初は雑草だと思い、抜き捨てた、がまた生えてくる。葉が観葉植物のようにきれいだし、ハート型でかわいらしくもあるので、他の鉢に植え替え、育てた。するとみるみる成長し、この初夏に花を咲かせたのだ。
 なんとも懐かしい、見覚えのある清楚さ。昔、子供の頃に住んでいた家の池の周りにたくさん咲いていた…まさか、と思い、葉の匂いをかいで見る。この匂いは紛れも無く、どくだみ。インターネットで調べると、学名やらいろいろ判明する。スペインの植物ではないのだ。おどろおどろしい名前をつけられたこの清楚で可憐な花をつけた植物が急にいとおしくなった。種だったのか、根が土のなかに残っていたのかは判らないが、あんなに少しの土の中にしっかり生命を残し、見ず知らずの土地で、しっかり花を咲かせた。

 話は変わるが、先日、別の花を見た。花というか、華。友人のフラメンコ公演を観た。
 雑草と言うには失礼だが、彼女もそんな強さを持っている。別の土地に生まれた根を、異国、異質の土地でしっかり張り、力強く舞う彼女にこのエピソードがダブった。持ち前の明るさとがんばりに、この地で水、空気、光を吸収し、みんなの期待以上に大きな、あでやかな花を咲かせた。

 根を張る、という活動は決して容易ではない。そこから成長することも。
 今回、楽しませてくれた花たちを私は誇りに思うし、僭越ながらもっと立派に育って欲しい、と願う。

 

 
ちょっと前のわたしたち

2008年2008年9月2008年8月2008年7月2008年6月2008年5月2008年4月2008年3月2008年2月2008年1月

2007年2007年12月2007年11月2007年10月2007年9月2007年8月2007年7月2007年6月2007年5月2007年4月2007年3月2007年2月2007年1月

2006年2006年12月2006年11月2006年10月2006年9月2006年8月2006年7月2006年6月2006年5月2006年4月2006年3月2006年2月2006年1月

2005年2005年12月2005年11月2005年10月2005年9月2005年8月2005年7月2005年6月2005年5月2005年4月2005年3月2005年2月2005年1月

2004年2004年12月2004年11月2004年10月2004年9月2004年8月2004年7月2004年6月2004年5月2004年4月2004年3月2004年2月2004年1月

2003年2003年12月2003年11月2003年10月2003年9月2003年8月2003年7月2003年6月2003年5月2003年4月2003年3月2003年2月2003年1月

2002年2002年12月2002年11月2002年10月2002年9月2002年8月2002年7月2002年6月2002年5月2002年4月2002年3月2002年2月2002年1月

2001年2001年12月2001年11月2001年10月2001年9月2001年8月2001年7月2001年6月2001年5月2001年4月2001年3月2001年2月2001年1月

2000年2000年12月2000年11月2000年10月2000年9月

トップに戻る

 

 

このページはFirefox3.0 と I.E.7にて動作確認されています。
e-mail address: info@arrobaspain.com
Copyright (c) 2000-2008@Spain all rights reserved.