ちょっと前のわたしたち

【No.46】8月6日(Norie) * 【No.47】8月13日(かおる)
【No.48】8月20日(Taka) * 【No.49】8月27日(Sara)

No.49
8月27日 Sara(マドリード)

 “私の夏休みとマラガのフェリア”

 “夏は逝く”
夏は逝く。今日、8月26日。まだ暑いけど、確実に夏は逝く。 毎年、いまだに私は、宿題をやり残した小学生の気持ち。 毎日働く時間が決まっている人も、自由業も、大変さは皆同じ。 忙しさも皆同じ。自分の時間を使うのが下手な私は、自由業が好きなのに、大変苦労する。1ヶ月前でも、どんでん返し。 (大きい仕事が入る時もあり、まったくのキャンセルもある) つくづく、今年は、自分の仕事へのスタンスを考えさせられた。 どうして、夏の終わりにこんな事を考えるかというと、 私は日本人だから。…続く。

 “日本人とスペイン人”
バケーションの予定を聞くと、日本人は1年も前からどこに行くか、大体決まっている。 スペイン人に聞いても、1ヶ月前くらいにならないと、さぁ〜? これは、夏休みの日程や、国の諸事情が違うので、だから、どう、と言いきってしまうのはなんですが。 日本人、スペイン人の違いって考えたら。 スペイン人が特別陽気。スペイン人は彫りが深い。スペインは太陽がいっぱい。 スペイン人は夜更かし。 これも当たり。でも、それがどっからきてるかっていうと。 「 sabemos lo que queremos 」(サベモス ロ ケ ケレモス) 何をしたいか知ってる! 

 “Lo que queri'a yo!”(私のしたかった事)
それで。この夏は、キューバに行きたいとか、そういう、いつもあたためているBigな企画は据え置き、 私の夏休みのテーマは、パラグライダーのグループが20数名日本から、はたまたドイツからやってきてアンダルシアに集合だ! 彼等と楽しくコスタ・デル・ソルの海岸でまったり過ごす。という、平凡ながら大変楽しみにしていた企画だった。 さて、蓋を開けてみれば、なにがどうってことはないのだが、忙しすぎて私は、海には一度も浸からなかった。 でも、これは、日本から来た友人一同も全員忙しかったのだ。 観光地には沢山行った。 旅行の企画には問題ないのだが、20数人の友人のなかには、旅行中すれ違いで話もゆっくりできない人も多かった。 これは問題だ。 それともうひとつ思ったことは。 忙しかったから、疲れていたから、なにか出来なかったといういい訳を する人がいる。私もついやってしまう。 これはいけない。そして、体が頑張ると今度は笑顔を忘れる。 これもいけない。

 “マラガのフェリア!”
そんな中、滞在中のネルハで、マラガがフェリアだという情報を得た。 夏は至るところでフェリアだが、マラガのフェリアはアンダルシアの人達のなかでも大きくて楽しくて有名。 有名なのはセビージャのフェリア。自分が楽しむ為なら絶対マラガかグラナダをお薦め。 10数人を引き連れてフェリアへ! もう半分以上は自分の為。好物の鳥の丸焼きを食べてからスタート。 ほんの4時間くらいのことだったけど、4時間真剣に遊ぶ、遊ぶ! フェリア会場にはほとんどの人が車で行く。 駐車場も無料で交通整理の人々が朝までテキパキ。 普段、仕事はノロノロのスペイン人達。こういう時は急に動く、働く。 帰りは全員飲酒運転の車を導く、導く。 「バカな国だね〜〜〜」の私の一言に車の中は爆笑だった。

 ほんの4時間の間だったけど、日本から来た皆の顔がスペイン人と同じ表情だったのを見逃さない。 そして、光り輝くフェリア会場が、日本の美しくて、どこか切ないあの花火のような残像で私の夏休みの記憶に残った。

 さて、沢山の宿題を抱えてはいるが、気にせず、秋に突入! 涼しくなれば、何事ももう少しスムーズに運ぶだろうといい加減に神に祈る。
 ケ セラ セラ!  明日は明日の風が吹く〜〜〜。

Sara Ayako Ishikawa

 

No.48
8月20日 Taka(日本)

 真夏のスペイン、しかもアンダルシアに行ってきた。フライパンとも呼ばれる夏のアンダルシアは灼熱地獄。いや地獄ではなくむしろ灼熱天国だ。
 陽射しは熱いが風は爽やか。木陰に入ると冷んやりしてビールやワインと共にいつまでもまったりできる至福の時を過ごしてきた。

 今回の旅の目的の一つはコスタ・デル・ソルの海岸でイワシの串焼きを食べてのんびりすることだった。マラガのペドレガレホという小さな海岸が気に入っている私は、日本から遅れてやってきた友人と合流してその海岸にあるお気に入りのレストランに腰をおろした。おろした途端に目の前に広がる入り江で泳ぎたくなる。波はない。まるで鏡のような水面の海。コスタ・デル・ソルと言ってもマルベジャやベナルマデナなどの高級リゾート地と比べると観光客は少ない。

 ビールを1杯ひっかけた後、顔見知りのカマレロ(ボーイ)に荷物を託して水に浸かる。どこまでも澄んでいてひんやり冷たい水が、ほてった体を瞬時に冷やしてくれる。ひとっ風呂浴びてから食事をする感覚で身も心も爽快になったら再びレストランに戻る。まずはエスペトと呼ばれるイワシの串焼きを2人前とビールを注文。たかがイワシがそんなにスゴイのか? と半信半疑でいた友人も唸る旨さ! だってそこはスペインの風のなか。「こりゃ、たまらんね〜!」「ガガゴゴゴ…」。声にもならない旨さにただただがぶりつく2人。テーブルの下には、お行儀よく前脚を揃えた猫があくびをしながらもずっとイワシのおこぼれを待っていた。

 砂浜の上のチリンギート(屋台)でじっくり火あぶりされたイワシは手で頭と尻尾を持ってがぶりつくのが正式な食べ方。上品ぶってはいけない。たっぷりとレモンを絞ってかけたイワシを腹からがぶりつくとその瞬間、脂がジュワ〜ッとこぼれ落ちる。「ウォーーー!」(感激の叫び)。全ての食事が終わると最後にカマレロが、サービスのチュピート(食後酒)を持ってきてくれた。ショットグラスは凍っている。キンキンに冷えた桃の味のチュピートをカポッと一息に飲み干すと胃の中で幸せな満足感が充満した。

 17日間のスペイン旅行はあっという間。日本に帰ったら東京のど真ん中にある我が家も蝉時雨の中にあった。到着早々仕事を再開した私は、翌日の朝、仕事の各方面に向け10月からの休業宣言をした。自分にまたちょっと違う風を吹かせてみたくなったのだ。さて、どうなることやら…。

 

No.47
8月13日 かおる(マドリード)

 先日は私の誕生日だった。
 8月というと、スペインはバケーション真っ盛り。8月に入ると急に個人商店に「バケーションのためお休み」の張り紙が目立ち、道路でも目立って車や人の往来が減るのを感じる。
 しかしながら、最近は8月を丸々バケーションに費やしてしまう商店などは、めっきり減少し混雑を避けるため時期をずらしてバケーションを取る人も増えてきている。私の周りにはそんな人たちが多い。8月にはせっかくマドリードの喧騒が静まるのだ から、マドリードに居たい、そういう論拠だ。

 ところで、前置きが長くなったが、そんな中の誕生日だったのだ。
 これを読んでくださる皆さんにはご存知の方も多いだろうが、スペインでは誕生日には祝ってもらうために誕生日を迎える人自身が友人らを飲食などに招待する。自主的に、「今日は私の誕生日!皆で祝ってね、ここは私のおごり!」というわけで ある。

 個人的に落ち込むことなどが多かった中、いろいろ考えた末、思いきって野外バーベ キューをすることにした。ぱぁっといこう!
 平日月曜日。処は私の住まいの近く、マドリードの中心地からかなり外れてはいるが、小さな町民会サッカークラブのようなグランド横のチリンギート(屋台のような出店)。
 実は、前々から犬の散歩のために、隣にある公園へ寄るたびに目をつけていた。あそこならリーズナブルでたくさん人を招待してもなんとか予算が手に届く。人が増えても大丈夫...皮算用を基に私が話をつけたのは、出産を3週間後に控えたここの女主人マリア。妊婦姿でたくましくメニューの相談、予算、当日の手配を行ってくれた。たくましい。

 パーティ当日は平日。まだ明るさが残る21時からのバーベキューに集まった総勢は25 人。
 マリアはグランドに設置した屋外用のテーブルにペーパーのテーブルクロスを敷き、私のために花束、そして受け取るプレゼントを置く小さなテーブルを用意しておいてくれた。
 盛り上がったため、全部私の招待!とまでは行かず、バーベキュー以降の飲み物は各自購入でお願い。でも、今までかなり他人任せにしていた自分のためのパーティ。ご無沙汰している友人やいつもの顔ぶれを眺めながら、こうやって自分のために皆に 祝ってもらうために、自分で呼びかけられるって素敵だな、と実感した。
 パーティそのものが私にとって最高の誕生日の贈り物になった。

 

No.46
8月6日 Norie(バリャドリード)

 夏は来客シーズンだ。

 3年ぶりにサラマンカで再会した彼女は、盲導犬と一緒にもう20回くらいスペインに来ているのだそうだ。お会いするのは2回めなんだけど、一緒にいると今まで気が付かなかった風景が見えてくる。散歩している道がコンクリートから石畳に変わったこと、風の向き、小鳥の声、カテドラルの彫刻、町の雑踏、話に夢中になっているうちに日が高くなってきたこと。

 東京でレストランをやっている人からは、グルメ本を執筆するために昼食、夕食、胃が痛くなるまで食べ続けた苦労話を聞いた。その旅行では、バールに並んでいるタパスも、どこでも全種類食べてみたんだそうだ。バールによっては数十種類のタパスがあるから、想像しただけでお腹一杯。

 少し前になるけど、イギリス出張中の学生時代の友人と数年ぶりに再会したこともある。彼にはイギリスの食事が合わなかったらしく、焼いたイカにマヨネーズをつけただけのタパスに感激して、「これを食べるためにスペインに来てもいいな!」と喜んでいた。

 リベラ・デル・ドゥエロのワインが大好き、とおっしゃるカップルはドゥエロ河クルーズのためにバリャドリードにいらっしゃった。大きくて流れが遅いから、いつも茶色く濁っているドゥエロ河にそんなツアーがあるとは夢にも思わなかった。

 恐らく日本で暮らしていれば、会うこともなかっただろう人たち。

 今年の夏は、妹が友だちと一緒に遊びに来る。
去年の夏は両親。一昨年は姉。日本にいた頃、家族で10日間も一緒に旅行することなんてなかったのに不思議なものだ。「スペインに遊びに行こうかな。」と家族や昔の知り合いから連絡をもらうと、スペインで暮らしていて良かったかもしれない、なぁんて思ったりするのだ。

 いや、午前中の仕事を終えて、近所のバールでビールを飲むたびに「スペインで良かったねぇ、わたし。」と思うのだけど。

 

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