ちょっと前のわたしたち

【No.1】 9月4日(Norie) * 【No.2】 9月11日(むく)
【No.3】9月18日(ナオミ) * 【No.4】9月25日(Carmen)

No.4
9月25日 Carmen (日本)

 3週間余りのスペイン旅行から帰国したばかりの状態で、今これを 書いている。帰国直後はまだ気分の高ぶりが残っていて、全然眠気 を感じない。私がしばらくいない間に日本はちょっと涼しくなった ようだ。でも、それ以外のものは何も変わらない。それはそれで ありがたいことで、帰ってみたら家に異変が起きていた、では やはり困る。

 日本に住む私にとってスペインですごす時間は夢を見ているような もの。その夢はとてもリアルで、毎日、時間がゆっくりと、しかし 確実にすぎていった。

 日本に住んでいるために現地在住の人ならなんてことない話が ピンとこないことがあるのだが、現実のスペインの人々やその 生活の流れを見ていると私にもだんだん読めてくるものがある。 行くたびに毎回発見があるので、スペイン滞在はさしずめ自分に とってはバージョンアップのようなものだ。

 そして今、夢からすっかり覚めた私は日本にいる。

 丘のてっぺんにそびえる中世のお城、ひっそりとしたユダヤ人街、 にぎわう都会のバール、観光スポットに群がる観光客たち... ほんの数日前まで見ていた光景を脳裏に思い浮かべ、私は遠い目 をしてため息をつく。

 スペインはまた遠くなった。だけど、遠くに感じるからこそ 近づいているときが幸せに感じられるのだ。それも悪くない かな、とやっとこの頃思えるようになった。

 

No.3
9月18日 ナオミ (日本)

 先日、熊野詣に行ってきた。ご存知の人も多いと思うけれど、 熊野詣というのは和歌山県の熊野三山(本宮大社、速玉大社、那智大社)をお参りすること。平安時代から始まり、 江戸時代に最も盛んになったいわゆる「巡礼」である。そのルートは三重、和歌山、奈良からと様々で、当時 利用されていた山道は「熊野古道」と呼ばれる。現在でも部分的ではあるが、険しい山中に風情のある石畳の 巡礼路が残っていて、近年、にわかに脚光を浴びている。

 スペインで巡礼というと、「サンティアゴ巡礼」が有名で、熊 野古道を語るときに引き合いに出されることがある。一見、よく似ているように感じるこの二つの巡礼路だが、 巡礼の目的を考えてみると、カトリック教徒たちの目的は「免償を受けること」とされる一方で、熊野の場合 はもっと現実的な願いをかなえるためだったというから、大きく異なっている。ただ、どちらも危険を 省みず、大変な思いをして目的地まで行脚する先人たちの信仰心には感服するばかり。

 現在でも、サンティアゴや熊野を訪れる人は絶えることがない。 ただ、車や観光バスで訪れる人が多いのはどちらも一緒のようだ。 昔の人たちの苦労に比べ、楽をしてお参りするのでは、そのご利 益が減るのではないかと気になるところだ。  はたして、車でふらりと訪れたわたしにご利益はあるのだろうか ....。

 

No.2
9月11日 むく (マドリード)

 8月に日本から旅行に来た人のスケジュールに合わせてバルセロナに遊びに行った。ランブラスを歩いていると懐かしいTの顔を見つけた。 もしかしたらいるかなと思って歩いてはいたのだが。

 彼は大学のクラスでスペイン語を一緒に学んだ同期である。3回生が終わってスペインに旅行に来て、そのまま居着いてテキ屋を続けている。 10年前にスペイン支社開設の準備に来た時にランブラスでばったり会ったのが15年ぶり、今回はそれから10年ぶりという事になる。

 大学のクラスには特に思い入れはないが、スペイン語会話クラブには非常な思い入れがある。 駐在員生活をするようになってからはクラブとの縁が切れた状態が続いていた。

 今年の3月に先輩から突然メールが届いた。「クラブの後継者がいなくなり、昨年クラブの解散式を行なった。OB会のホームページを作った。云々」そうと知っていたらクラブの解散式には必ず駆けつけたのにと思っても後の祭り、縁遠くなっていた報いか。 11月には文化祭で後輩(プロ)のフォルクローレコンサートがある。クラブのOBも多数駆けつける由。 久しぶりにみんなに会いたいと思う。

 

No.1
9月4日 Norie (バリャドリード)

 ある日、マドリード在住のKちゃんの恋人Mくんから突然電話。

 なにごとだろう!?と思ったら、「Kちゃんの誕生パーティをするから 来ない?」というお誘いだった。しかも、「ビックリさせるんだから 、絶対内緒だぜ。」と、本人の携帯電話の番号まで教えてくれる 念の入れよう。

 当日。余裕を持って早めに家を出たので、約束の時間より30分も 早く着いたのだけど、まぁ手伝うこともあるかな、と思って、チャイム を鳴らすと、まだパジャマ姿のKちゃんがいて、なんでバリャドリード のNorieちゃんが連絡もなくウチに来るの?というわけで、Mくんの計画は バレバレ。本当は、近所の友だちが遊びに来て、パエジャを作っている ところに、次から次に友だちがやってきて、あービックリ!という計画 だったらしいのだ。

 こういう遊び心を忘れない大人って、とても良いと思う。 とても良いと思うのだけど、ウチの場合、わたしより、ダンナの誕生日 の方が先にきちゃうのだ。それも、もうすぐきちゃうのだ。

 

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