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8. 学校選びをはじめよう-大学か私立の語学学校かの選択
数ある私立の語学学校に加え、最近その数がどんどん増えてきたのが大学の外国人コース。語学留学を考えるものにとってはかなり魅力的なのである。それはなぜか。ズバリ正直な話、長期の留学を終えて持ってかえってくるのが
「○○アカデミアコース修了書」 よりも 「○○大学外国人コース修了書」 の方がなんとなくりっぱに聞こえるからだ。
さて、実際のところのメリットはどうなっているのか?
今回はこの大学の外国人コースに関するコメントをちょっと書いてみよう。
1.授業の質のよしあし
一般に大学の授業の方が私立の語学学校のそれに比べて高い、とか大学のコースにはある程度のスペイン語力がないと入学できない、などと聞くが一概にそうとも言えない。まず授業の質についてだが、大学によってその差がありすぎる状況。授業内容と教師の管理がしっかりしてるかどうか如何にかかっているというのは、私立の語学学校とかわりない。結果として大学だから質がいい、とはいえないのだ。
ある程度のスペイン語力がないと…ということもない。「通年コース」といわれる、スペイン語レッスンプラス文化講議のコースに関してはもちろん中級程度のスペイン語力が必要だが、それ以外のインテンシブコースは初心者用からレベルを用意されている。
1クラスの人数が多い、団体で参加している学生が多い、というのも知っておくべきことだろう。1クラスは大体10人〜20人。各大学が海外の大学と提携を結んでいる事で、毎年数十人単位の学生の団体のコース参加を受け入れているところがほとんどだ。特に夏季は私立の語学学校と同じくこの団体さんでかなりの賑やかさに溢れている。
2.宿泊施設、課外活動
宿泊施設に関しては御自分でお探しください、という所がけっこうあることに注意。また学生寮、ホームステイ先のみ紹介というところもあり、最初から学生ピソへの入居希望の方は、早めの対処をするべきだろう。
課外活動はエクスカーション、市内観光など基本的なもののみで、通常豊富なバリエーションは期待はできない。しかし図書館の使用、一般授業の聴講可などの特典もあるし、大学の主催する催し物のインフォメーションが得やすいということもある。
3.通年コースへの参加
10月から6月初旬までの期間で、スペイン語のレッスンに加えて歴史、文学、美術史など多方面にわたる文化講議が用意されているものだ。スペイン語レッスンはともかく、文化講議の内容は濃いので、これを100%消化するには受講者自身のある程度のスペイン語力と、スペイン文化に関する基礎知識が必要となってくる。
このコースの受講を考えている方には、開始までにスペイン語力をつけておくことはもちろんだが、ぜひ!スペインをはじめとするヨーロッパの文化・歴史の概要をおさらいしておくことをお勧めしたい。
コースは3学期に分かれ、各学期末試験に合格すること、そして授業の90%以上に出席することが修了書の獲得の必要条件。加えて授業はあくまでも講議であって、手取り足取りの親切な授業ではない。内容を理解するには最低でもヨーロッパ人が持つ歴史文化に関する知識レベルが必要だ。結果として残念なことに、せっかく参加したのにもかかわらず、途中でコースを放棄してしまう人がけっこう多いのが現状となっている。
コースが始まってから慌ててスペインの歴史の本を開いてみても間に合わない。幸いこのジャンルについて書かれた日本語図書は豊富にあるのだから、事前に入念な準備をしておきたいものだ。
4. スペイン人学生との接点
大学のコースに行ったからスペイン人学生との接点が多い、と考える方が多いのだが…。聴講生として、現場の授業に参加するのであれば話は別かもしれないが、外国人コースはあくまで大学の一部の機関であって、普通の学部とは別にあるものなのである。
繰り返すようだが、自分に居心地のいい環境は最終的に自分でつくるもの。私立の語学学校に通うのと同様で、自身が積極的に情報収集をし、コンタクトを求めない限り、現地学生との接点は生まれないのだ。
実際に自分で交渉して大学のコーラス部やラグビー部に参加したり、大学主催の学術発表会その他に参加している学生もいる。ぜひそんな利点を自分自身で開拓してほしい。
全体的に大学の外国人コース批判に傾いたコメントになってしまったかもしれないけれども…。優秀な教師陣を持ち、しっかりした授業構成で参加しがいのある充実したコースを用意している大学もある中で、レベル分けもままならず、教師の授業態度も緩慢、クラスはバカンス気分の団体学生に占められて英語が飛び交いーという何ともいいかげんなコースを提供している大学もあるのが実体なのである。
なんでこんなことになってしまったのか。
まずこの外国人コースが、企業としてかなり"おいしい収入源"になるということに多くの大学が気がついてしまったことにより、近年同様のコースが乱立してしまったことにあるだろう。
それにプラスして、やはり大学というレッテルは健在であり、熾烈な競争が繰り広げられる私立の語学学校とは一線を画した地位を確保しているということ。それに海外の大学との提携によって充分な生徒数を確保できている安定感は、内部批判を受け入れにくい環境を作っているのではないか。大学が教育の殿堂であると同時に大企業であることは東西かわらず、なのである。
もちろんここでは、だから私立の語学学校の方が良くて大学が悪い、といいたいのではない。どちらにも長所、短所があるということは認めたい。「大学イコール高レベルのスペイン語教育」という固定観念にとらわれず、冷静な目で質の判断をしたいものだ。
後藤 美智子
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