「プレステージ号の重油流出事故のニュース」 (2002年11月21日)

(新聞による発表)
 SEO/BirdLife(スペイン鳥類学協会)、プレステージ号による重油流出のような環境災害を防止するため、欧州委員会に早急な対策をとることを要求。

 

 エリカ号による災害(1999年仏沖)や、現在のプレステージ号の災害は、海上交通の安全性、特に石油運搬に対する社会の憤慨を引き起こした。 結果として欧州連合は、IMO(International Marine Organization、国際海事機関)の指導と標準をいくつか上回る形で、海上安全の欧州規定を強化し、歩調をあわせる必要性を認識した。 これらの体策はエリカパッケージ(欧州の海洋規制)として知られており、緊急対応(エリカパッケージT)と長期対策(エリカパッケージU)に分けられる。

 欧州委員会の上位責任者らによるラ・コルーニャ視察に際して、SEO/BirdLife(スペイン鳥類学協会)は以下のことを要求した。

1. 特に以下の点で、エリカパッケージを緊急採用すること。
  ・ EUの港においてリスクがある船舶のコントロールを強化。(FOC船*1、航行15年以上、危険物の運搬をする船舶)
  ・ 船級(航行能力と安全性の基準を定めるため、船を検査する)におけるコントロールの強化。
  ・ 期限を2005年とし、共同体海域の重油を排除する。IMOが予見した2015年まではという期限ではとても遅いため、期限を早める。
  ・ 汚染により引き起こされる被害の責任と補償を改善する。汚染損害に対する補償基金(COPE基金)のエリカパッケージの提案を緊急で進める。
2. 環境への責任に対する指針となる提案を早急に採用すること。また、石油運輸による重油流出で、責任範囲が拡大されることを認めること。

 石油事故は一度起こってしまったら、軽減することの不可能な深刻な影響をもたらす。 汚染流出の抑制、もしくは重油まみれの鳥の処置には多額の費用がかかり、環境への影響が関係しているという点でかろうじて有益なものである。 また、海洋生態システムと地域経済は回復するのに何年もかかる。これらの大被害を防止するために早急な対策をとることが必要である。それは、海上交通の十分な法律によって達成されるだろう。

 プレステージ号の流出重油による環境への影響は、環境省により42億ユーロ(仮)と見積もられた。 しかし、これは海岸回復の費用でしかない。生態システムの環境全体の費用は、経済的な見積もりが難しい。 ガリシア自然ネットワーク2000の中で非常に重要な区域である、モルテ海岸(la Costa da Morte:11,885ヘクタール)とコルベード多湿コンビナート(el Complejo Humedo de Corrubedo:9,302ヘクタール)は、今回ほぼ初めて、このような大変深刻な影響を受けた。モルテ海岸には愛鳥家のための様々な自然地域がある。 特に、シサルガス諸島(Islas Sisargas)、ビラン岬(el Cabo Vilan:危機に瀕する、ウミカラスAraosと3指カモメGaviotas tridactilas のスペイン最後の二つの群れの生息地)、タラバ潟(la Laguna de Traba)、バルダイオ低湿地(las Marismas de Baldaio)、インスア入り江(la Ensenada da Insua)などだ。 それらとは別に、漁業・観光で失われた経済資源と海上救助作業の費用は、100億ユーロ以上である。

*1 FOC(Flag of Convenience): 船の所有権や管理者が、掲げている旗の国とは別の国にある船。

ラ・コルーニャ、2002年11月20日
SEO/BirdLifeスペイン鳥類学協会保存部局 カルロタ・ビアダ


 

 

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